【UFO撃墜事件】-女子大生 朽屋 瑠子-
投稿者:kana (210)
朽屋はこの日、バージニア州にあるラングレー空軍基地への出向を命じられた。一応大学の学費は軍が出してくれている。無下に断ることもできない。それに、朽屋には何か予感がしていた。先日のUFOの件と空軍は何か関係しているのではないかと思った。
ペンシルベニアの農場からバージニア州の空軍基地までは400マイルほど離れていたが、軍の用意したヘリで3時間ほどで移動できた。
「ようこそ、クッチャルコさん。私はジャスティン・エリオット大佐です」
「はじめまして、ク・チ・ヤ・ルコ です。よろしくお願いします」
「さっそくですが、ブリーフィングを行いマス。荷物を置いたらブリーフィングルームへ」
「イェッサ」
ブリーフィングで説明された内容に朽屋は驚いた。
今から2週間ほど前、テキサス州にある例の『ベヒーモス』の遺体を隠ぺいして研究していた軍の極秘施設上空に『車輪のような巨大なUFO』が突如現れ、施設を強襲。保管してあったベヒーモスの遺体・検体などすべてを取り込み、音もなく飛んで行ったのだと言う。
施設を警護していた50名からなる1個小隊は、応戦を試みるも、まるでベヒーモスとの戦いのときと同じように武器が全く役に立たず、逆に車両などを破壊されるなどして敗走した。
数名のけが人は出たものの、死者が出なかったのは不幸中の幸いであった。
NORAD(ノーラッド : 北米航空宇宙防衛司令部)は、突如あらわれたこのUFOを『エゼキエルの車輪=オファニム』と呼称し、24時間体制で追跡した。
『オファニム』は高度65,000フィート(19,500m)という超高空をゆっくりと漂い、まるでアメリカ全土を監視するかのような動きを見せていたが、数日前、突如として地上すれすれまで降下した。
「その日の夜、私の目の前でキャトルミューティレーションが行われたという訳ね」
朽屋の想像は当たっていた。
『オファニム』の目的は、M科学カレッジの研究施設の地下深くで保管・研究されていた『ベヒーモス』の検体の一部を奪取することなのだろう。『オファニム』はなぜか執拗に『ベヒーモス』にこだわりを持っている。やつはUFOではない。ベヒーモスと同じ魔物だ。なぜベヒーモスを狙っているのか、理由は定かではない。もしかしたらただ単にベヒーモスを食べたかっただけなのかもしれないが、情報が少なすぎる。
「だとしたら、あの農場で待ち伏せして、地上に降りて来たところを狙撃しましょう」
朽屋はそう提案した。
大佐が答える。
「それはダメだ。やつは目立ちすぎる。地上に降りてくれば目撃者が多数となって対処しきれない。テキサスの時は周囲に人がいなかったが、キミのいた農場に降りた時は、実は数十人ほど目撃者が発生し、情報保安局はてんてこまいだったそうだ」
「あんな黒ずくめの人たちでも慌てることがあるんですね」
「それに、恐らくやつはキミとの対決を避けている。農場での襲撃を途中で放棄して逃げたのも、おそらくキミと遭遇したからだ」
「わ、私の顔見て逃げたって言うんですか?? ひっどーーーい!! プンスカ!!」
「これも憶測でしかないのだが、やつはベヒーモスを取り込んだ時、君の魔弾がベヒーモスを貫いた時の記憶も一緒に取り込んだ可能性がある。情報保安局の見解だ」
「てことは、私がいるとやつは降りて来ないってことですよね・・・どうすれば・・・」
「そのために、キミにはここで特別なプログラムに参加してもらうことにする」
「イェッサ!・・・・えっ?なんですか?」
こうして朽屋の戦闘機訓練がはじまった。
要は、降りてこないのならばこちらから迎えに行くということだ。
kamaです。自分で書いてて一番好き。朽屋瑠子シリーズ第13弾はアメリカの大学に通いつつ、UFOと遭遇するお話です。3連休のお供に、ぜひお楽しみください。ここで重要な出会いがあったりしますね。
ところで、作中「MIB」メン・イン・ブラックが登場しますが、ここではちよっとダサめな「ブラックメン」という呼称を使っています。これはボクが中山市朗先生の代表作『山の牧場』が大好きすぎて毎晩聞いて寝ていて、そのせいでそこに出てくる「これがブラックメンだ!」という少年の目撃例として使われるセリフが頭の中をぐるぐる回って、これはもうMIBではなくブラックメンと呼ぶしかない!!と思って使わせていただきました。
今田美桜で実写化して欲しい
藤井マリーはどうか?
クチヤさん、これ最後、ハルトマン大尉とバーに行った後いい感じになってやってますねぇコレは。
なんか無性に牛乳が飲みたくなった。
↑コメントありがとうございます。実写化とか、夢があっていいですね~~~妄想が膨らみます。
朽屋さんのプライベートに関してはボクは口をはさみません。もう大人ですし、恋愛は自由です。
あと、牛乳おいしそうでしたか?実はラストでもう一回現代に戻して三上と牛乳のみにいくオチも考えてたんですけど、まぁそれはまたの機会にとっておきます。
韓国語の怪談サイトでこちらのお話が取り上げられてましたね。やはり朽屋 瑠子シリーズは海外でも人気です!