【UFO撃墜事件】-女子大生 朽屋 瑠子-
投稿者:kana (210)
「朝ご飯まだでしょ?サンドイッチと牛乳持って来たから一緒に食べましょ? なんたってペンシルベニアはアメリカ有数の牛乳の産地ですからね。農場で採れたての牛乳をどうぞ」
「えっ、あぁ、ありがとう。こんなにしてもらって・・・」
軽くトーストしたプチプチ食感のライ麦パンに野菜とハムとチーズの入った朽屋お手製のサンドイッチ。そして牛乳をひとくち・・・
「えっ、うっまーーーい!牛乳ってこんなにおいしかったっけ?」
喉も乾いていたのだろう。牛乳を一気に飲み干す三上であった。
「よかった、オジサンが無事で」
「あぁ、何から何まですまない。なんか元気出てきました」
「よかったよかった」
「その・・・キミは日本人みたいだけど、ここの農場で働いてるのかな?」
「残念でした。私M大学の学生。あの農場は大学の研究施設のひとつなの」
「そうなんだ・・・。いや申し訳ない、実はボク、今記憶があいまいで・・・自分がなぜここで寝ていたのかも、あなたの事も、名前は知っているのにそれ以外の事が何も思い出せなくて・・・なにかご存じではありませんか? ボクがここにいる理由・・・」
朽屋はすこし悩んだが、だまって彼方を指差した。
「・・・?・・・なんです?・・・」三上は振り返って朽屋の指差す方を見た。
うっすらと朝もやのかかる牧場の一角に、なにかの塊がある。
ハッとした・・・。それはまぎれもなく、牛の死体・・・三上は思わずそれを凝視し、
次に朽屋の顔をマジマジと見た。
「アレって、まさか・・・」そう問う三上に、コクリとうなずく朽屋。
三上は慌ててカメラと、ガイガーカウンターを持ち出して、急いで牛の死体のある方へ走った。「うわぁぁぁ」という三上の叫び声がする。
・・・・・・
やがて失意の三上がクルマに戻って来た。カメラは壊れていた。
「オジサン、よく食べたもの吐かずに帰ってこれたね。エライよ」
「あぁ、こう見えてもグロ耐性はあるんでね。なぁに雑誌編集者なんてそんなもんさ」
「オジサンなら、何があったか思い出せなくても、推測くらいはできるんじゃない?」
「あぁそうだな・・・アレは間違いなくキャトルミューティレーションだ。ボクがその現場にいるということは、おそらくUFOを追ってここまで来たか、あるいは偶然遭遇したか」
「うんうん」
「そしてボクは記憶を失い、カメラは壊されていた。なぜか?」
「うん」
「考えられるのは二つ。ボクもUFOにアブダクションされたか、あるいは・・・」
「あるいは?」
kamaです。自分で書いてて一番好き。朽屋瑠子シリーズ第13弾はアメリカの大学に通いつつ、UFOと遭遇するお話です。3連休のお供に、ぜひお楽しみください。ここで重要な出会いがあったりしますね。
ところで、作中「MIB」メン・イン・ブラックが登場しますが、ここではちよっとダサめな「ブラックメン」という呼称を使っています。これはボクが中山市朗先生の代表作『山の牧場』が大好きすぎて毎晩聞いて寝ていて、そのせいでそこに出てくる「これがブラックメンだ!」という少年の目撃例として使われるセリフが頭の中をぐるぐる回って、これはもうMIBではなくブラックメンと呼ぶしかない!!と思って使わせていただきました。
今田美桜で実写化して欲しい
藤井マリーはどうか?
クチヤさん、これ最後、ハルトマン大尉とバーに行った後いい感じになってやってますねぇコレは。
なんか無性に牛乳が飲みたくなった。
↑コメントありがとうございます。実写化とか、夢があっていいですね~~~妄想が膨らみます。
朽屋さんのプライベートに関してはボクは口をはさみません。もう大人ですし、恋愛は自由です。
あと、牛乳おいしそうでしたか?実はラストでもう一回現代に戻して三上と牛乳のみにいくオチも考えてたんですけど、まぁそれはまたの機会にとっておきます。
韓国語の怪談サイトでこちらのお話が取り上げられてましたね。やはり朽屋 瑠子シリーズは海外でも人気です!