【UFO撃墜事件】-女子大生 朽屋 瑠子-
投稿者:kana (210)
そんなやり取りをしている合間にも、ヘリは朽屋たちに近づいてきており、砂嵐のような風が捲き起こっている。
着陸したヘリから、三上の言う通り黒服を着た二人の男たちが現れた。
「うわ~本物だぁ・・・どうしよう」あせる三上。
「オジサン!、慌てず、抵抗せずよ。あいつら銃を持ってるわ。下手に逃げたら撃ち殺されるわよ」
二人組の黒服の男たちが挨拶をしてきた。
「私たちは国家情報保安局の者です。簡単な調査を行いますのでご同行ください」
「ひっ、殺される~~~殺されるんだぁぁ!!」泣き叫ぶ三上。
「そっちのオジサンはパニックを起こしてるわ。ろくな情報は聞き出せないわよ」
「ふむ、あなた・・・ルコ・クチヤさんですね。お話は伺ってます。今回の件はのちほど上から指示が行くと思いますので、大人しく待機していてください」
「そう、私の事、知ってるんだ。このオジサンはどうする気?」
「安心してください。殺しはしませんよ。写真を任意提出していただいて、いくつか尋問してからここにお戻します。もっとも、戻った時には今夜あったことは忘れているかもしれませんが」
「・・・そう。仕方ないわね。お手柔らかにね。私が知った以上、このオジサンが無事に戻ってこなかったときは・・・あとでいろいろと面倒なことになるわよ」
「善処します」
「ところで、あの牛の遺体はどうするの?放っておくの?」
「牛の遺体など、珍しくもないですよ。あれは別の方法で対処します」
そう言って、黒服の男たちは三上を連行してヘリに消えていった。
一人、現場に取り残される朽屋。とぼとぼと殺された牛の元まで歩いて行く。
そこには血と内臓を抜かれ、地面に激しく叩きつけられた一頭の牛がいた。
その牛の頭をなでながら朽屋は涙した。
「ごめんね、牛ちゃん。助けてあげられなくて。カタキはいつかきっと討つから」
・・・・・・
翌朝、ヴィンセント三上は路上放置されたピックアップトラックの中で目が覚めた。
「あれ・・・いつのまにか寝ちゃったのかな・・・まったく、我ながら不用心だな。・・・なにか盗まれたりしてないだろうな・・・」口から垂れたヨダレをぬぐいつつ、車内の荷物を調べ始める。カメラもある。機材類もある。問題なしだ。
「でも・・・ここどこなんだ? なんでこんなとこにいるんだろ・・・」
そう不思議がっていると、コンコンと誰かが窓をノックする。
ふと見ると、それはいかにもアメリカの田舎娘っぽい恰好をしているが、日本人と判るボーイッシュな感じのカワイイお嬢さんだった。
「オジサン、おはよう。お目覚めはいかが?」
「あぁ、おはようございます朽屋さん・・・」ん?と思った。はじめて会った人のはずなのに、なぜ自分の口から今この人の名前が出たんだろう?
「あは、オジサン私の名前覚えてくれてたんだ。あいつらの腕も大したことないわね」
そう言いながら朽屋というらしき女性がクルマに乗り込んできた。
kamaです。自分で書いてて一番好き。朽屋瑠子シリーズ第13弾はアメリカの大学に通いつつ、UFOと遭遇するお話です。3連休のお供に、ぜひお楽しみください。ここで重要な出会いがあったりしますね。
ところで、作中「MIB」メン・イン・ブラックが登場しますが、ここではちよっとダサめな「ブラックメン」という呼称を使っています。これはボクが中山市朗先生の代表作『山の牧場』が大好きすぎて毎晩聞いて寝ていて、そのせいでそこに出てくる「これがブラックメンだ!」という少年の目撃例として使われるセリフが頭の中をぐるぐる回って、これはもうMIBではなくブラックメンと呼ぶしかない!!と思って使わせていただきました。
今田美桜で実写化して欲しい
藤井マリーはどうか?
クチヤさん、これ最後、ハルトマン大尉とバーに行った後いい感じになってやってますねぇコレは。
なんか無性に牛乳が飲みたくなった。
↑コメントありがとうございます。実写化とか、夢があっていいですね~~~妄想が膨らみます。
朽屋さんのプライベートに関してはボクは口をはさみません。もう大人ですし、恋愛は自由です。
あと、牛乳おいしそうでしたか?実はラストでもう一回現代に戻して三上と牛乳のみにいくオチも考えてたんですけど、まぁそれはまたの機会にとっておきます。
韓国語の怪談サイトでこちらのお話が取り上げられてましたね。やはり朽屋 瑠子シリーズは海外でも人気です!