【悲しい灯 事件】-女子高生 朽屋 瑠子-
投稿者:kana (210)
「そうです、ビフロンス先生は私たちを助けてくれるのです。あなた方は何者ですか?私たちの邪魔をしないでください」そう言って悪魔を擁護するK氏。
「哀れな父と娘を利用して、何を企んでいるのかね? ビフロンス伯爵」
朽屋と頼子のさらに後ろから、もう一人、男が現れて言った。
「私は法王騎士団団長、ルーカ神父だ。ビフロンス伯爵、私の目の届くところで蝉採りなどして遊んだのが運の尽きだったようだな」
ルーカ神父はガラス瓶に捕まえた蝉をビフロンスに見せた。それは先ほどネクロマンシーの術で生き返らせた蝉だった。悪しき魔のオーラをまき散らしながら茂みに隠れていた蝉は、ルーカ神父の遠隔透視能力〈クレヤボヤンス〉によって、いとも簡単に捕まっていた。
ルーカ神父はその蝉をK氏にも見せながら説明した。
「あなた、この蝉を使ったネクロマンシーの実演でも見せられたのでしょう?よく御覧なさい。生き返った蝉は私が捕まえるまでの数分の間に、数十匹の仲間を食っていたんですよ。
・・・あなた、娘さんをこんなゾンビのような化け物にしたいんですか?」
K氏はそれをマジマジと見た後、震えながらビフロンスを見た。
「せ、先生・・・これは・・・本当なのですか?・・・ゾンビって・・・」
ビフロンスは不敵に笑いながらK氏に近寄った。
「ははは、そんなわけないじゃないですか。やつらこそ神の手先。信じてはいけません!!」
そう言いながら、ビフロンスは黒い指をヘビのように伸ばし、K氏を襲う。
殺される! そう思った瞬間、突然空から雷光のように剣が振り降ろされ、
ビフロンスの腕は切り飛ばされた。
「ぐはっ!・・・なんだ!?」
それはガーゴイルであった。見るといつの間にかこの空間に三体のガーゴイルが現れている。
そのうちの一体がビフロンスの腕を切り落とし、もう一体がK氏をつかまえて上空に逃げた。
「ガーゴイルは私の使い魔だ。この周辺にはすでに結界を敷いた。おまえはもう逃げられない。覚悟したまえ」
「ふん、人間の分際で、私のせっかくの楽しい時間を台無しにしおって」
ガーゴイルに切られた腕はあっという間に再生し、次に背中からまるで蜘蛛か蟹のような形の巨大な脚をバキバキと音をさせながら出現させた。
「ガーゴイル、メディバル・アーマード・モード」ルーカ神父がそう命令を出すと、
ガーゴイルの身体は一度分離し、1体はK氏の身体にまとわりつき、K氏を守る鎧となった。
残る2体は、朽屋 瑠子と貴澄 頼子それぞれにまとわりつき、二人の鎧となった。
K氏を守る鎧は遥か後方に下がり、大きな盾を持って防御の体制に入った。
巨大なクモか蟹のような姿となったビフロンスが鋭い爪で襲い掛かる。それを聖剣で受け止めるルーカ神父。左右からは鎧をまとった朽屋と頼子がガーゴイルの鉄剣でビフロンスに襲い掛かる。激しい攻防が続き、ビフロンスは焦っていた。(本当なら26の軍団からなら部下の魔物たちを何千と出現させ、こんな人間どもは跡形もなく食い殺してくれるのに・・・)
だが、結界内は閉鎖空間であり、少なくともルーカ神父を殺さない限り、部下を呼ぶこともできない。
kamaです。朽屋瑠子第10作目は、VS 悪魔ビブロンス戦です。
今回はボクの作品の中でもとくに悲しく救われない話となっていた「悲しい灯(ともしび)」の解決編ともなっています。そちらも併せて読まれると、世界観が広がると思います。
お盆休みの暇な時間のお供に、ぜひどうぞ。
kamaです。誤字脱字などいくつか修正しております。もし見つけた方はお知らせください。よろしくお願いします。
いい話だ。
ただ、ちょっと長いで( ´∀`)。
いつも楽しく読ませて頂いております
クッチャルコ新作、待ってました!
心温まる話でハッピーエンド、いいストーリーでとても良かったです
次回作も期待してます
↑kamaです。コメントありがとうございます。ちっょと長いですが、これでもがんばって半分の長さにしました。半分って、すごい削除量でしょw
怖くは無かったけれど面白かったです。
怖いというか、詐欺師ってこうやってだましていくのかという別の怖さがあった。
陽菜ちゃんと同い年の中学生くらいの子たちに読んでほしい気がする
↑kamaです。コメントありがとうございます。
楽しんでいただけて何よりです。朽屋瑠子シリーズはボクが一番楽しんでいるので、同じ目線で見てくれている読者様にはとくに感謝いたします。残念ながら今回出番がかなり短いですけど、これも半分に削ったためですね。削る前のオリジナルでは朽屋が赤ちゃん言葉を使うシーンと、仲間にパンツ見られるシーンもありました。(どんどん怪談から遠くなるので削除)
・・・またいつか別の機会に。
一同に会するじゃなくて一堂だと思います
↑kamaです。ありがとうございます。修正させていただきました。本当に助かります。またなにかありましたらご指示よろしくお願いします。