【悲しい灯 事件】-女子高生 朽屋 瑠子-
投稿者:kana (210)
ハンドルに突っ伏すK氏。
「フム、まだ覚悟が足りないようですね」
「ス、スイマセン・・・人殺しはしたことがなくて、手が震えます・・・」
「まぁ誰にでも初めてはあるものです。次、頑張りましょう。いや、なかなか良い加速でしたよ。きっと次はうまく行きます。娘さんと再会できるのもあと一歩ですよ」
「はい・・・頑張ります・・・」
「そうだ、その娘さんの霊を先に迎えに行きましょう。そのあと生贄を作れば、その場ですぐに私がネクロマンシーを行い、すぐに娘さんを生き返らせて御覧に入れましょう。うん、その方が手っ取り早い」
「は、はい・・・それでは娘を迎えに行きます」
クルマは一路、陽菜の待つ進学塾へハンドルを切った。
・・・・・・
いつもの塾に到着するK氏。入り口付近に娘の陽菜が待っていた。
静かにクルマに近寄ってくる陽菜。
「おぉ、なるほど、かわいらしいお嬢さんじゃないですか。目に入れても痛くないとはこの子のためにあるんでしょうな」ビフロンスが陽菜を褒めてくれるのでK氏も嬉しくなった。
「ありがとうございます、先生」
助手席のドアをあけて陽菜を迎え入れるK氏。「遅くなってすまない、陽菜」
だが、後部座席に乗ったビフロンスを見た陽菜の霊は、急に後ずさりした。
後ろへ下がったかと思うと、誰か見知らぬ女子高生の後ろに隠れてしまった。
「うん?」陽菜の後ろから二人の女子高生が近づいていたことに今更気付くビフロンス。
それはK女学園3年、朽屋 瑠子(くちや るこ)と、貴澄 頼子(きすみ よりこ)の二人だった。
「あの運転席の人がお父さんね。ありがと。陽菜ちゃんは危ないから塾の奥の方に隠れていてネ」朽屋の指示に従い逃げる陽菜。
「陽菜!どうしたんだい!?大丈夫だよ、怖くないよ!! この人はいい人なんだ」
クルマを降りて陽菜を呼ぶK氏。だが陽菜は戻ってこない。
「ちっ、面倒なことに・・・」ビフロンスが愚痴をこぼしながらクルマを降りる。
「あなたのような名だたる悪魔がこんなところで何をされている?」と頼子。
「ほう・・・私を知っているとは。そうか・・・キミは天使となるための修行をされているようですな」貴澄頼子の方を見て、その霊力を計り取っているビフロンス。
「私はこの方の夢をかなえるべく、力をお貸ししているだけです。邪魔をしないでいただきたい」そう言いながら、ビフロンスは右手の指をヘビのようにK氏の方へ伸ばし始めていた。
kamaです。朽屋瑠子第10作目は、VS 悪魔ビブロンス戦です。
今回はボクの作品の中でもとくに悲しく救われない話となっていた「悲しい灯(ともしび)」の解決編ともなっています。そちらも併せて読まれると、世界観が広がると思います。
お盆休みの暇な時間のお供に、ぜひどうぞ。
kamaです。誤字脱字などいくつか修正しております。もし見つけた方はお知らせください。よろしくお願いします。
いい話だ。
ただ、ちょっと長いで( ´∀`)。
いつも楽しく読ませて頂いております
クッチャルコ新作、待ってました!
心温まる話でハッピーエンド、いいストーリーでとても良かったです
次回作も期待してます
↑kamaです。コメントありがとうございます。ちっょと長いですが、これでもがんばって半分の長さにしました。半分って、すごい削除量でしょw
怖くは無かったけれど面白かったです。
怖いというか、詐欺師ってこうやってだましていくのかという別の怖さがあった。
陽菜ちゃんと同い年の中学生くらいの子たちに読んでほしい気がする
↑kamaです。コメントありがとうございます。
楽しんでいただけて何よりです。朽屋瑠子シリーズはボクが一番楽しんでいるので、同じ目線で見てくれている読者様にはとくに感謝いたします。残念ながら今回出番がかなり短いですけど、これも半分に削ったためですね。削る前のオリジナルでは朽屋が赤ちゃん言葉を使うシーンと、仲間にパンツ見られるシーンもありました。(どんどん怪談から遠くなるので削除)
・・・またいつか別の機会に。
一同に会するじゃなくて一堂だと思います
↑kamaです。ありがとうございます。修正させていただきました。本当に助かります。またなにかありましたらご指示よろしくお願いします。