女子大生梨乃─悪夢のヒッチハイク旅行
投稿者:ねこじろう (147)
ガラスのテーブルが倒れてカーペットの上にはピンクの薔薇が散らばっている。
左方にあるテレビから聞こえてくる能天気な笑い声。
と同時に何だろうか若い女の呻き声が微かに聞こえてくる
「ううう、、あああ、、」
それは、こちらに背中を向けテレビの前のソファーに並んで座る二人の女。
一人は黒髪のストレート、もう一人は茶髪のセミロング。
私はふらふらと歩き「お願い、助けて」と言いながら、二人の背後に近づいて行く。
そして改めてその姿を目にした途端、思わず「ひ!」と悲鳴を上げると数歩後退りした。
二人は衣服らしいものは着ておらす、ピンクのビキニしか身に付けていない。
そしてその両腕は肘から先が、両足は膝から先が無く、首には革の首輪が付けられていて長い鎖で繋がれていた。
しかも頭部には、両目を塞ぐように金属のワイヤーがグルグル巻かれていて、口には猿轡がされている。
ワイヤーはかなりきつく縛られているみたいで、縁からどす黒い血が頬に幾重にも筋を作っており、かなり痛々しい。
二人は必死に何かを訴えるように、体を揺すっていた。
「ひ!、、、」
私は再び悲鳴を漏らすと、そのまま床に尻餅をついた。
女たちは悲痛な呻き声を漏らしながら、芋虫のようにソファーの上をモゾモゾ蠢いている。
私がショックで動けないでいると、突然背後から老婆のしゃがれた声がした。
「あんた、息子の彼女なのかい?」
驚いて振り向く。
とたんにまた全身が凍りついた。
それは運転席との仕切りボードの前。
白いネグリジェ姿の老婆が立っている。
伸ばし放題の白髪の下の顔は皺だらけで痩せこけており、はだけた襟首の下からは、あばら骨が浮いた胸元が覗いている。
老婆は片手に持ったパンを一口ほうばるごとに私の方を見てはニタニタと野卑な笑みを浮かべていたが、やがてその姿は徐々に霞んでいき最後はフッと消え失せてしまった。
下方の床には食べ掛けのパンが一個落ちている。
─え?いったい今のは何?
、、、怖い。
誰か、お願い、誰か、た、助けて、、、
私は呟きふらふらよろめきながら入口ドア辺りまで歩くと、窓から外を覗く。
海岸線に沿って広大な草原がどこまでも広がっていた。
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