苦悶の叫びをあげるダヴィデ。
ソードを構え、ダヴィデにもう一閃、一撃を叩きこもうとするルーカ神父の前に
思いもよらぬ者が立ちはだかった。より子である。
「待って神父様! お父さんなの! これ私のお父さんなの!!」
涙を流しながら、大きく手を広げてダヴィデを守ろうとするより子。
4メートル近くまで巨大化した紫色に膨らんだ泥の塊のようなダヴィデと、
それを守ろうとする小さな天使の対比が異様な光景に映る。
「より子クン、どきなさい。それはもう君のお父さんじゃない! 」
「イヤ!お父さんを殺さないで!」
「・・・ベアトリーチェ・・・」ダヴィデがより子の本名を呼ぶ。
「お父さん・・・?」ダヴィデの方を振り返るより子。
残った左腕がより子をつかまえる。
「教会から出てはいけない・・・おまえだけは守る・・・」
「大丈夫よ、お父さん・・・私は平気よ」
「おまえだけは守る・・・おまえだけは・・・」
そう言いながらダヴィデの腕はヘドロのように溶けてより子の身体を包み込もうとする。
「いかん、より子クンを取り込むつもりだ!!」慌ててソードを構えなおすルーカ神父。
「お父さん、ヤメテ。もう終わりにしよう・・・」
より子は語りかけるのみで、まったく抵抗しない。
このままではダヴィデに飲み込まれてしまう。
下手に切り込めばより子も一緒に切ってしまう可能性があり、ルーカ神父は一瞬ためらった。
が、その瞬間、鋭い金属音とともに一瞬衝撃が走り、ダヴィデの身体は斜めにケサ切りにされた。崩れ落ちるダヴィデ。空中に投げ出されるより子。
「ふぅ・・・お怪我ありませんか? 神父殿。・・・それに、小さな天使様よ」
ダヴィデの後ろから、長い黒髪に黒いスーツ、革靴を履いた男が現れた。その手には日本刀が握られていた。
「見ていられませんでしたので、助太刀いたしました」
「あなたはいったい何者です? 先ほどから狙撃をしているのもお仲間ですか?」

























kamaです。先ほど投稿させていただいた「より子ちゃん」の裏で起きていた一大事件を書かせていただきました。まず先に「より子ちゃん」を読まれてからこちらを読むと、面白さも倍増かと思います。
またこの「朽屋瑠子」シリーズも今回で4作目となりますので、合わせて他の朽屋瑠子シリーズも読まれると世界観が広がると思います。
あと、今回27ページもの大長編となってしまいました。頑張って読んでくれた方、ありがとうございます。・・・これだと誰も怪談朗読してくれないだろうから、そのうち自分でやろうかな・・・と思ってます。
まるで吸い込まれるような感じで、最後まで拝読させて戴きました。続きを早く読みたいです。
↑kamaです。27ページもあるのに読んでいただき感謝です。
朽屋瑠子シリーズは今後、短編をいくつか出しつつ、たまに長編みたいな、そんな感じで出して行こうと思ってます。
kamaです。
涼君が押し入れの鉱石採集セットを見つけてより子ちゃんに再開するシーンに、
『ローズクウォーツが抜け落ちた鉱石採集セットのように、
涼の心にもぽっかりと隙間が空いているようだった。』
という一文を追加させてもらいました。
・・・詩的でしょ?
まさに、涼君の鉱石セットのくだりがホロリと来ました。短編物も拝読させて戴きましたが、瑠子シリーズはスリルがあっていつまでも読みたくなります。
↑kamaです。ありがとうございます。どこかホロリとくるシーンがあるのって、いいですよね。怪談は怖い話ばかりじゃないと思いますし。
奇々怪々に「怖いボタン」以外も欲しいです~。
また楽しみにしていてくださいね。
ボクはより子ちゃんが泥だらけになっても涼君を追いかけるとこでホロリと来ました。
より子ちゃん単独の話だけ見ていると、子供の誕生日になぜ教会から出られないより子ちゃんが家まで来たのかわからなかったけど、これでつながりました。
↑kamaです。ありがとうございます。朽屋瑠子シリーズは、ボクの作品の裏で起きてる解決編みたいな構成で、オムニバス的に楽しめるようにしてます。これからもよろしくお願いします。
今まで投稿話の中で27ページという最長の話を投稿されたkama先生お疲れ様です。ところで今回の話も場合によっては改稿などで短くなるでしょうか?
↑kamaです。ありがとうございます。改稿の可能性は無いとは言えませんが、今のところは「やり切った感」が強いので、あったとしてもたぶん1年後とか、あるいは改稿しないか・・・という感じです。そうですね・・・やるとしたら戦争の歴史を説明している部分をもう少しはしょるとか・・・ですかね。でもあの部分もより子ちゃん親子がいかにして生涯を閉じたかの部分なのでバックボーンとしては残しておきたい気もしますし。まぁとりあえず今は次の作品を出すことの方を優先したいと思ってます。ありがとうございます。
色々な方の長編作品を読んでいた際にkana様のクッチャルコシリーズを見つけ、初投稿から読ませていただいているのですがこの話で先に読んでいた作品と繋がってとてもテンション上がりました…!!
本当に楽しく読ませていただいてます!!ファンです!!!