奇跡的に大学に入れた俺にも親友ができた。
「人間社会ってさ、実は妖怪とかが紛れ込んでても分からないよな」
こんなおかしなことを言う男でなければ良かったのだが、ぜいたくは言えない。
「たとえば、ろくろ首が首を縮めていれば人間と変わらないわけだ」
最初のころはステンレスグラスで酒を飲むことに文句を言っていた奴だが、今では何も言わなくなった。
人間は順応性が高くて助かる。
「だが、女の首筋が好きな男からすれば、長ければ長いほど魅力的なわけだ。
例えば――俺!」
すでに何の話なのか分からない。
「ものには限度というものがあるだろう」
適当に相槌を打ったが「何を言っている! 俺は女の子の首を抱き枕にしたいんだよ!」と熱弁された。
何を言っているんだ、こいつは。
「あと、鬼な。格闘技のヤバいやつ全部鬼だろ」
「いや、そんなことはないだろ」
また突拍子もないことを言い出した。
「弱い角なし鬼が、わざわざこっちに来て人間相手にイキってるんだよ、ダセー奴らだよな」
「落ち着け、鬼が人間相手に戦うわけないだろ」
「あいつら脳筋だぞ、戦うに決まってるだろ」
「待て、鬼は脳筋ばかりじゃない、術を使うやつもいるんだぞ」
俺が言うと、きょとんとした顔をして――
「術ってなんだよ、現実を見ろよ」
大笑いしやがった。
どの口が言ってやがる。
言い返そうとしたところで電話が鳴り、そいつはそのまま電話に出た。
しばらくすると「彼女が呼んでるから帰るわ。俺の彼女、胸は大きいんだけど、首は短いんだよ――ろくろ首よりは」と言って帰っていった。
まったく――鬼が人間と格闘技なんてあるわけがない。
それは試合じゃなくて、もはや処刑だ。
あいつに悪気がないのはわかってはいるが、思わず手が出そうになってしまった。
やれやれ、またステンレスグラスを握りつぶしてしまった。


























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