それからまた数か月たったころ,幽霊の声が聞こえるようになりました.
突然,「ふふっ」という女性の笑い声や
「おい」という男性の声が聞こえるようになりました.
幽霊と聞くと,どこかから連れてきてしまったり恨まれていたり理由は様々ありますが,
一人に対して幽霊は一人しかつかないという謎の先入観がありました.
しかし,私の周りにいる幽霊は1人ではなく数人いるということが分かりました.
また,幽霊の声だけでなく,足跡や身動きをとったときの音も聞こえるようになりました.
特によく物音が聞こえたのは深夜2時24分でした.
その時間になると隣の部屋を素足で行ったり来たりする誰かの足音が聞こえるのです.
小学生だった私はもちろん深夜2時はぐっすりと寝ている時間なのですが,
それでも起きるくらいはっきりと音が聞こえてくるのです.
その幽霊は数分間,部屋を行ったり来たりを繰り返すといつもいなくなるのです.
時には,水滴が地面に落ちる音が聞こえることもありました.
足音の響き方は子どもよりも重く,大人の男性よりは軽いという印象でした.
そのような音が聞こえるといつも頭から布団をかぶってなにも知らないふりを続けていました.
私と同じ寝室に両親は寝ていたのですが,2人はいつも起きてはくれないのです.
起こそうと思ったことは何度もありますが,幽霊の存在に気付いているということを
幽霊に知られることが一番危ないと本能的に感じました.
そのため,奇妙な物音がしても両親に助けを求めることはできませんでした.
音は昼間にも聞こえることがあります.
しかも,夜に聞こえるよりもはっきり聞こえるのです.
私は基本的には実家の2階のリビングで生活していました.
実家では祖父母,父母,兄2人の7人で生活していましたが,
2階を使用するのは父母,兄2人と私だけでした.
友達や親せきが来ても2階には上げないというのが暗黙のルールとしてあったのです.
そのため,2階に上がってくるのは特定の人物のみです.
ですがたまに,ドドドドッと思い切り階段を駆け上る何者かの足音が聞こえるのです.
その音は体重が軽く,動きも軽快だったため,おそらく子どもの足音ではないかと推測しています.
このように,私の家には何人もの幽霊がいたのです.
しかも,前はいたのにもういなくなった幽霊もいるのです.
大体,4~5年ほど家にいて,そのあとはいなくなるというのが慣例であったように記憶しています.
つまり,入れ替わり立ち代わり幽霊が存在していたのです.
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