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呪い・祟り

件の首さんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

先端医療
短編 2022/11/07 00:02 3,753view
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 私の心臓に先天的異常があると知って、資産家の両親はかなり金を使ったそうだ。
 最後に辿り着いたのは、異端と呼ばれる海外の医学者Hで、心臓移植手術の成功率は抽んでていた。

 高校2年生となった私に、ようやく手術の日が訪れた。
 麻酔から覚めた私は、指先の隅々まで温かさを感じた。身体全体が震える程に強い鼓動に、自分がどれほど危うい状態にあったかを知った。
 Hは母に請求書を見せ、母は躊躇いもなくその場で小切手を切った。
 そしてもう一つ、Hは母に尋ねた。
 「スロー・アウェイ」、母は、そう答えた。

 その日から、私は悪夢にうなされるようになった。
 出て来るのは、決まって私自身だった。
 首をぐいぐいと絞められ、頭が破裂しそうな圧力を感じながら、ぐったりして目が覚める。

 帰国して間もなく、私は父に連れられて成田空港に向かっていた。
 空港に向かう車内で、父は思い切ったように口を開いた。
「――お前ももう17歳だ。妻は知らせるなと言ったが、私は知るべきだと思う」
 空港に到着すると、倉庫のような場所に案内された。

 空港職員がその箱の蓋を取る。

 箱の中には。

 どこかで見たような人が横たわっていた。
 自分自身だと分かるのに、随分時間がかかった。
「……お前の心臓の、ドナー、だ」
 父は言葉に詰まりながら、説明した。

 あのHという医師は、患者のクローンを育てて移植臓器を取っていたのだ。
 Hは逮捕され、捨てる(スロー・アウェー)前だった私のクローンは、遺体として日本に返される事になった。
 クローンと言っても、双子と変わらない。
 心臓1つのため。
 罪悪感に胸が痛んだ。

 その時。

 クローンは空洞のような目を見開いて怒鳴った。
『なら、返せ!!』

 意識を取り戻したのは病院だった。
 私の――いや、彼の心臓は、急速に壊死が始まって、人工心肺に切り替えるしか、方法はなかった。

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