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心霊

Nさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

駅で取り憑かれた話
長編 2022/10/02 11:55 20,072view
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一輛まるまる貸し切りとは豪勢だとゆったり寛ぐ事にした俺は、正面のガラスの先に映る夜景を眺めつつも下車駅まで仮眠を取る事にした。

だが、意識が沈みかけた頃、どうしても何かの視線を感じて居心地が悪くなり目を開けた。
ちょうど地下に突入していたのか外は真っ暗でガラスには車内の景色が広がっていたのだが、正面のガラスには俺が俺を見つめている姿があって、俺が座っているシートの横にずらーっと人が座っていた。
そいつらも一緒になって俺の方を見ていた。

寝惚け眼というか、直前まで船を漕いでいた俺は瞬時に脳が覚醒して飛び跳ねた。
立ち上がってシートを振り返るが、そこには誰も居ない。
当然だ。
この車両には俺しかいない。

もう一度確認しようと対面のガラスを見やるが、いつの間にか地下を抜けて地上に出ていた為に、ガラスの向こうには夜景が広がっていた。

俺は下車駅に到着すると一目散に車両を飛び出して改札を出た。

これはいよいよ俺の頭がおかしくなったと思い、帰り道、Aに電話して事情を話した。

Aは『まじで?ヤバ。病院よりお祓いいった方がよくない?』と言ってくれたので、俺は帰宅するなりお祓いをやっている最寄りの寺や神社をネットで探した。
とは言っても、この時間帯に電話しても居ないと思ったので、明日の昼にでも電話してみようと思い、一先ずリストアップした寺はメモ帳に保存し、その日は疲れもあったので気絶する様に眠った。

翌日、寺に電話してお祓いを引き受けてくれたら日程を確認して有休を取ろう、そう思い詰めながら家を出る。
流石に精神的に疲れた。
あれが心霊現象じゃなければいよいよ病院の厄介になるのか、なんて憂鬱だった。

そして、駅に到着した俺はいつもの様に電車を待つ傍らにぼけーっと電光掲示板を見上げる。
あと数分で電車来るなー、と何も考えていないアホ面で周囲を見ていると、女子高生らしき服装をした人がよたよたとホームを歩いているのが何故か目についた。
嫌に千鳥足。
まるで泥酔している様にふらついている。

誰の目から見てもホームの中で浮いていたその女子高生は、次第に線路側に引き寄せられる様に歩を進める。

いや、明らかに線路を目指して進んでいる様に見えた。

まさか飛び込み自殺?
そんな考えが頭を過ぎると、俺は慌ただしくざわつく心音を殺して助けを求める様に周囲を見やる。
だが、明らかに変な女子高生が列を無視して線路に近づいているというのに、他の利用客は黙って電車を待つだけで気にも留めていなかった。

何かがおかしい。
そうは思っても、俺には目の前の女子高生が線路に飛び込もうとしているようにしか見えず、咄嗟に列から飛び出していた。

「あぶない!」

俺が声を出すのと同時にその女子高生は振り返った。
俺はその女子高生の顔を見てぎょっとした。
顔が潰れたハンバーグみたいで目とか鼻のパーツの面影が無かった。
思わず飛び出しながら差し出した手を引っ込めそうになるが、その女子高生は振り返るなり俺の腕を掴んだ。

3/4
コメント(5)
  • 最寄り駅で人身事故多いから怖いんだが😠

    2022/10/03/14:58
  • 読ませるねえ

    2022/10/09/11:01
  • こわすぎ

    2022/10/30/18:15
  • ガラス越しにこちらを見つめるたくさんの目のところとか映像化したらめちゃくちゃ怖いだろうな

    2022/11/03/03:17
  • 同僚Aの優しさだけが救い

    2023/04/23/09:32

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