見知らぬ人形

学生時代の夏、地元の集まりで久しぶりに旧友と会うことになり、その流れから心霊スポットと呼ばれているトンネルに車で行くことになりました。

近場のトンネルということもあり、特に恐怖心はなかったですがノリと勢いで付近まで車で行きました。

トンネルの入り口には車止めが設置されており、車で入ることができなかったため、友人たちと歩いてトンネルを通り、折り返してまた車まで戻ってくるという往復30メートルほどの簡単なコースでした。

特に何かが起こるわけでもなく、ふざけ半分で折り返し地点まで行き、最初に入り口に戻ってきたところ、車止めが設置してある所に何か小さな影がありました。

友人たち全員で「猫かな？袋かな？」などと話しながら近づいたところ、なんと見知らぬ日本人形が置かれていたのです。

入り口は一か所しかなく、トンネル自体の距離も短いため、誰かがその場にいたら絶対に分かるはずなのです。

友人の中の誰かがふざけて置いたという可能性も低いうえに、心霊スポットに行くのは完全にその場のノリだったので、そもそも人形を用意しているはずがありません。

その時の人形の表情もよく覚えています。ふざけてその場に行った僕たちへの警告だったのでしょうか。