つぐないの家
投稿者:LAMY (11)
実はあの万引きは、自殺した〇〇ちゃんではなくて、うちの娘がやったみたいで――
「顔が可愛い子だったから、同性からかなり妬まれてたみたいなんだよね。だから万引きの罪を着せようとして、みんなで一芝居打ったらしいんだよ」
母が胸糞悪そうにそう言ったのを、小野さんはよく覚えているそうである。
世の常と言うべきか、それからお婆さんは、無実の女の子を死に追いやった鬼婆としてこれでもかとバッシングを浴びたそうだ。
孫のようにかわいがってきた子供たちに人殺しと呼ばれ、店に石を投げ込まれ。
元々歯に衣着せないお婆さんの言動を好ましく思っていなかった親たちからも抗議の電話をされ、学校には「問題のある人のお店だから、行かないように」とお達しを出され……挙句の果てには話を聞きつけた愚連隊もどきのヤンキー集団に店を荒らされて、すっかりお婆さんは心身共に参ってしまった。
騒ぎを聞いて遠方からやってきたお婆さんの姉だか妹だかが、首を吊って死んでいるお婆さんの遺体を発見して、「みんなのお婆ちゃん」たろうとした老人の夢はひっそりと潰えた。
「『こうすることでしか償えません。お許しください』みたいな遺書があったらしくてね……。そんな場所だから、あそこには肝試し目的の不良すら近づかないんだよ」
あんたも変なこと考えるんじゃないよ、バチが当たるから。
母は小野さんにそう言ったが、しかしその時にはもう既に、その駄菓子屋廃墟で肝試しをすることは確定していた。
当時小野さんは高校三年生。
進学なり就職なり進路も粗方決まり、あとは何も考えずに遊ぶだけの時期だった。
不法侵入でしょっぴかれて進路が台無しになる危ない綱渡りだったものの、学生というのは馬鹿なもので、当時はその辺のことは一切気にしていなかったそうだ。
人死にの逸話があって、自分たちの行動範囲の内側にあって、いざという時は走って逃げればどうにかなりそうな手頃な心霊スポット。件の駄菓子屋廃墟は、あらゆる意味でうってつけの場所だったのである。
小野さんが仲間に母から聞いたいわくを伝えると、皆「よし来た!」とばかりに大盛り上がり。あれよあれよと日取りが決まって、肝試しの当日はすぐにやってきた。
「やっぱ夜だと雰囲気あるなァ。どう、板垣なんか感じるか?」
「感じる感じる。あっ、今そこでババアが手招きしてる!」
「絶対嘘や! 今のは絶対嘘や!」
向かったのは小野さん含めて五人程度の頭数で、その中に板垣という男が居たそうだ。
この板垣は常日頃から「霊感がある」と自称しており、実際彼と一緒に写真を撮ると誰かの手や足が消えてしまったり、無風の野外で撮ったたにも関わらず写真がオーブだらけになったりと、不可思議なことがよく起こったらしい。
それでも皆板垣の霊感については半信半疑だったそうだが、肝試しするからには専門家は居ないとな、ということで板垣を誘う流れになり、彼も喜んでその誘いに乗ってきた……彼が来るまでの経緯はざっとそんなところだったという。
また板垣は気のいいお調子者で、一緒に居ると場が自然と盛り上がるから、というのもあったようだ。
しかしその板垣は、廃墟の中に入るや否やぱったりと静かになってしまったという。
小野さんたちはしばらく「うわ、マジで駄菓子屋じゃん!」「昔のおもちゃとかそのまま残ってる。すげえなぁ」などと恐怖というよりかは感心しながら辺りを探索していたのだが、奇妙に静かな板垣に気付いた一人が彼にどうしたのかと問いを投げかけたそうだ。
すると板垣は、やや険しい表情で――
「……何か変な音しね? さっきからずっと」
「音ぉ?」
「うん、なんかこう……ぎしぃ、ぎしぃっ……みたいな音」
素晴らしく、読ませられる文章。怖い。
これ、俺の地元の駄菓子屋かも……
導入のお婆さんと子供の話がいい。めっちゃ引き込まれた。
今回の作品もとてもおもしろかったです
毎回会話に引き込まれる いや引き込まれるって書いたら怖いか
目先変えて ほっこりする話しでも聞かせてほしいです
導入から引き込まれるし、退屈させない、オチでしっかり怖い話でした。
どういうジャンルの話書いても上手いんじゃないかなこの方…
ババアより嵌めた元友達の枕元に拍手しに行けよ
これ悪いのばばあじゃなく嘘ついたガキじゃね?化けて出るならソコ行けばいいのに
こえ~~~
悪いのはババアもなんだよなぁ。
「死んで逃げるなんて卑怯」だね。
死んだ後も責め苦を受けてるみたいだけど。
幽霊よりも簡単に手のひらを返しまくる人間の方がよっぽど醜悪で恐ろしいよ。
老獪な老婆が「片口」をどうして信じた。
年齢を重ねるということは、人間はウソをつき、誤解も思い込みもするという知識を経験則として身につけることだ。
だから人の告げ口よりも、自分の経験や印象、目の前の事実を大事にする。
それに反する密告者の密告など真に受けるだろうか。
良かった
怖いというか胸糞悪い話だな。タイトルも不気味でいいね。
うまいなぁ!
見えるきっかけってこう言うもんなんだろか?
駄菓子って最近ないやん!
みみたぶをたたく
いやまあ誰が悪いかを真剣に議論する場ではないから…w
描写が丁寧でいい話だと思いました
ドンマイバッバ
フォーエバーバッバ
まあババアもやり過ぎよね、みんなのお婆ちゃんたろうとする人のやる事じゃあないわ
子が死んだ後もなお悪口とかね
ぐう畜ババア
呪怨のトシオくんが首吊り死体を座りながら壁にドーンドーンってぶつけて遊んでるシーンを思い出してほのぼのした
おばあちゃんも○○ちゃんも可哀想だね。面白半分で行っちゃだめだよ。
子どもたちの焼きもちから派生したいたずらが、こんな恐ろしい形に変化するとは…。
この件に関わったかつての子どもたちも、親たち世代も、何らかの形で自分たちの過ちを問われることになるでしょうね。万引き事件を、もっと詳細に、丹念に関わってあげていれば、こんな悲劇にはならなかったはず。厳しさには優しさと愛がなければね。駄菓子屋のおばあちゃんは、ひとり暮らしだったんだろうか。冷静な判断をくだせる家族と暮らしていれば、また違った展開になっただろうに。この手の話は、後味が悪いだけに、じわじわとした怖さが残ります。
こう言う婆さんみたいに正論で人を傷つける人は無理。
本当にいい人は人を傷つける言い方はしない。
嘘をついた周りの子や万引き犯の女の子や家族にバチが当たりますように。濡れ衣を着せられた子は天国に行って幸せになりますように。
文章が読みやすくて良かったです。お話もとても良いです。
タイトルも的確な名作ですね。
是非、朗読で聴いてみたいですね。
怖くて話は良かった。万引きは余り良くないですね。罰当たりかもしれないです。
凄く怖いかったです。でも幽霊は意味がわからないです。
凄く怖いかったです
1番悪いのは無実の女の子に罪をなすりつけたクソガキだろ
↑そうだよ。なすりつけた子共だよ。
そういう子供にしたのはご両親だよ。
なんか普通に怖くない風になっているけどおばあさんがそこにいるだけでも相当な怖い話
こわいの前に、文章の書き方がとにかくお上手
情景が鮮明に浮かぶ、無駄がない、ちゃんとこわい
ストーリーも文章もかなり上手かった
ただ、そりゃ悪いのはそうだけどバッシングされながら後悔のままに死んだババアを死体蹴りするより
全ての元凶でありながら平然と勝ち逃げしてるクソガキたちに爆笑拍手しにいけやとは思ったね
自殺した子、婆さんのこと慕ってたんだろな…
自分を信じてくれず憎まれた事が、なにより悲しくて悔しくてたまらなかったのだろうな…
せめて婆さんが死ぬ前に心から謝罪をしていれば、彼女も怨霊になんかならなかっただろうに…
婆さんが自殺してからは、首謀者の子たちにいじめの矛先が向かったことは容易に想像できるね。
この環境じゃ…
1番タチが悪いのって「便乗勢」だよね。
ネットでもそう。
ぶっ殺された子どもがたのしそうならいいのだが
何故婆さんのとこにバッシングがいったのか全くわからん。嘘の密告した奴が首吊るってなら分かるが。
告げ口のガキ、取り巻きのガキでなく、婆さんがバッシングされたの??
女の子の親も担任も学校側もその子を信じてやれなかったんだよね?
学校「皆さん、あの店には行かないように」←どの口で言ってるの???
イジメられっ子自殺
イジメっ子が万引き犯だったとイジメっ子の親が知る
イジメっ子の親「婆さん所に謝りに行こう」
↑↑
これ!
本当にこれ!
これを純粋なフリした極悪と思うのは私だけか。
本当の悪魔ってこういう人だと思う。もう、おぞましい
胸糞だわ、嘘付いたガキとその仲間は呪われて早死にしてることを祈る
みんな悪を叩く正義になりたいんだよね…
爆笑拍手wをやめて成仏されますように。。南無。。
ところで、イジメっ子の親は立派な方でしょう。揉み消さずに我が子の罪を白日の下にさらした。わざわざ婆に謝りに行ったのだから、もちろん自殺した子の親にも土下座しに行ってるでしょう。下手したら自分の子供やその親である自分に対して、婆が受けたのと同じ社会的制裁が待ってるのに。
人の親たるもの、かくありたいものです。