こうやって食べるんだよ

私には今年で四歳になる息子がいます。
息子は外遊びが大好きで、毎日のように公園に連れてってくれとせがんでは私の手を焼かせました。

その日も公園でママ友たちとお喋りしていると、一人ポツンと砂遊びをしている息子の背中が目にとまりました。
何をしてるのだろうと話を切り上げ近寄ってみると、よその子が忘れていったおままごと用のお茶碗に砂を盛り付け、そのてっぺんに小枝を二本刺しています。

「どうしたのK君、それは仏さまにご飯をあげる時のやり方でしょ」

驚いて注意すれば、息子は不満そうにむくれて言いました。

「Aちゃんがこれが正しいっていうんだもん」

息子の友達にそんな名前の子はいません。ママ友たちもまるで心当たりがないと困惑しています。

なんだか気味が悪くなった私は、息子と手を繋いでそそくさ公園を出ました。
帰り道、好奇心に負けてAちゃんの特徴を聞いてみた所ぞっとする答えが返ってきました。

「Aちゃんは真っ赤なの。お顔がへこんでる」

後で知ったことですが、五年ほど前に町内で起きた事故の犠牲となった子の名前がまさにAちゃんでした。
事故後のAちゃんの顔面はひどく損傷していたそうです。

息子は幽霊とお砂遊びをしていたのでしょうか。