特技は剥製作りです
投稿者:C (15)
短編
2022/02/15
18:31
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アメリカ在住の伯父は狩猟が趣味で、毎年狩りが解禁されるシーズンには嬉々として森にでかけ、野生の鹿や鳥を仕留めていました。
数年前、伯父は遠出をしました。しかし土地勘がない為迷ってしまい、一時は遭難も覚悟したそうです。
そこへ親切な男が通りかかり、自分で建てたらしいロッジに案内してくれました。
「こんな辺鄙な場所に住んでたら不便では?」
「とんでもない、快適ですよ。趣味を堪能できますし」
男の趣味は剥製作りでした。
伯父が作業場を見たいと頼めば快くオーケーし、裏手のガレージに案内します。
殺風景なガレージには動物から剥いだ皮が干され、血と膠の匂いが立ち込めていました。
中に一枚、見慣れない皮が吊るされています。
「何の動物です?」
「妻です」
息を呑んで振り返った伯父ににっこり微笑み、男が言います。
「漸く新しい材料が手に入りました」
直後、後ろ手に隠し持った斧を振り下ろします。
間一髪ガレージから逃亡した伯父は、その後州道をさまよっているところを無事保護されました。
警察が踏み込んだ時には既にロッジはもぬけのからで、夥しい「作品」だけが残されていたといいます。
もし逃げ遅れていたら……今頃は伯父もコレクションに加えられていたのでしょうか。
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