俺はクリスマスが苦手だ
投稿者:with (43)
自分で聞いておきながら、咄嗟に違うと思った。
その時、外で車が通過したのかライトが差し込んで天井や壁が明るくなった。
その僅かな光の反射で影の顔がぼんやりと照らされる。
青白く無表情な知らない女の顔だった。
「うわあああああっ」
俺は布団を投げ飛ばすようにして飛び跳ねた後、後ろの隙間にケツから落っこちた。
その物音に気が付いたのかしらないが、廊下に電気が灯り、父が駆け上がってきた。
「おい、どうした?…ぶふっ」
父は俺がベッドと壁の隙間に挟まってもがいている姿を見て噴き出した。
「おまえ寝ぼけたのか?」
「た、たすけて」
俺は半笑いの父に引っ張り上げてもらい救出してもらうと、すぐに部屋の中をくまなく見回した。
「ねえ、さっき部屋にきた?」
「いや?風呂入ってた」
父の話では、ついさっきまで風呂に入ってて髪を乾かし終わった所に二階から大きな物音が聞こえてきたので慌ててやってきたとのこと。
因みに、母はトイレだそうだ。
「早く寝ないとサンタからプレゼントもらえないぞ」
父は俺をベッドに寝かしつけると部屋から出ていく。
ドアを閉める前になぜか親指を立てて「楽しみだな」と一言残して出ていった。
俺としてはちっともそれどころじゃないが、不思議と父のペースにあてられて落ち着きを取り戻しさっきの事は夢だったのかもと思い始めた。
翌朝、枕元に大きな包みが置かれているのを起床と同時に発見しテンションぶちあげ状態だった。
目を輝かせながら開封すると某ゲーム機と欲しかったゲームソフトが入っていた。
「うおおおおお」
俺は歓喜の声を上げた。
ふと、黒い糸がついていたので掬い上げる。
それは長い髪の毛だった。
俺は昨晩の女の顔を思い出すと一気に顔色が悪くなるのを感じた。
そこに父がにっこり笑顔を浮かべながら部屋にやってきた。
「何がもらえた?おお、欲しかったゲームか!よかったな!今から一緒にやるか?」
手でコントローラーを操作するジェスチャーを見せる父を見て、俺は苦笑いを浮かべた。
怖面白かった