廃屋で見つけた「みいちゃんのアルバム」
投稿者:with (43)
大学2年の夏休み、俺のアパートに友達のABCの計4人で集まり、毎日酒盛りをして遊んでいた。
その時、本当にあった怖い話というDVDを借りて酒の肴に鑑賞してた。
「そういやさ、あそこ、〇〇山麓のとこにある家あるじゃん。廃屋。あそこ出るらしいぞ」
缶チューハイを二つほど飲み干してスルメを齧るAが突然そんな事を言い出すものだから、他の馬鹿二人は同調し「行ってみよう」と急遽心霊スポット巡りをする事になった。
幸い俺は下戸で炭酸飲料で雰囲気酔いできる性分なので、実家が近いという事もあり親の車を借りに使いっ走りにされた。
黒の軽自動車でアパートへ戻ると三人は水や菓子などのおやつを抱えて乗り込んでくる。
「喰いカスとかこぼすなよ。親のだから」
「わかってるって」
本当にわかってるのか?なんて思いながら早速菓子を開封して食べ始めるBを睥睨する。
助手席にAが座り発車させると、Aはスマホでナビを開いて廃屋の場所を開いて俺に見えるようにかざしてくれる。
アパートから車で10分ほどの距離だ。
「DQNとかいたらヤだな」
気弱なCが一言こぼして隣で菓子を食うBが相槌を打っていた。
〇〇山付近に差し掛かると随分と風景が様変わりし、建物だらけだった視界が木や山の陰りで広がっていくので不気味な雰囲気だった。
電柱の数も減ってきて外灯も少なく、まるで暗闇のトンネルの中へ突き進んでいくような感覚だった。
しばらくすると目的の廃屋が闇を纏って佇んでいるのが見えた。
「お、あれじゃん。結構ボロいな」
Aがスマホを閉じながら顎で指す。
廃屋の敷地がどこまでなのかわからないが、全面に舗装されてない平地があったので、そこに車を停めることにした。
車から降りると人の気配はなく、本当に闇夜の中にポツンと自分達だけが存在している気分だ。
「玄関開いてんのかな?」
Bが率先して前を歩くので俺達も後を続く。
廃屋を近くで見上げると、築30年くらいの二階建てで至って普通の外観だった。
ただ、居住者がいないせいか庭木が植物で浸食されていたり、外壁や雨樋、軒先など部分的に風化し崩れている。
ギギギ
Bが引き戸の玄関を開けるとレール部分に何か詰まっているのか錆びているのか、引っ掛かったような金属音がした。
「おー、開いてるわ」
「誰か来てんだろ、俺らみたいのが」
まあ心霊スポットとして有名なら今までに何人か肝試しに訪れて、その内の誰かが鍵を壊したというのも想像しやすい。
家の中は当然真っ暗で先が見えなかったので、俺達はそれぞれスマホのライトを点灯させて足元を照らす。
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。