霊道の収納扉

現在住んでいるアパートの話です。小学生の頃に引っ越してきたこのアパートは築４０年近く経っており、決して綺麗とは言えません。引っ越してきた時から不思議な事はチラホラ起きており、今でも続いています。それが何なのか分からないので生活の一部として受け止めており気に留めていません。

まず、私の部屋には未だに学習机があり、他には鏡台や本棚、テレビ台などがあるのですが、この学習机の窓だけが時折音を立ててガタガタと揺れるのです。昼でも夜でも関係なく揺れます。地震が起きているわけでもなくトラックなどの大型車が通っているわけでもなく一体何なのか不思議です。親も「この机の窓が揺れて音がしてるけど何！？」と驚いていたことがあります。

次によく人影や人が出現します。真っ黒い人型、セピア色の外国人、うつむいて座っている女性、足だけの時など様々ですが、ひとつ分かっているのは掃除道具を収納している棚の扉が開いている時だけ出現している気がするのです。うちは基本的に匂いや湿気に敏感な家族なので真冬以外は各部屋の窓、部屋のドア、靴箱や押し入れなどの扉も開けています。掃除道具を収納している棚も例外ではなく扉を開けて空気の循環をしています。友人が来たり宅配が来たりすると閉めるのですが、閉めた日からその後１．２週間はまったく出現しません。個人的にこの掃除用具入れの扉は霊道になっているのかなと思います。

この人たちは台所、居間、私の部屋、仏間などどこにでも出ます。母は台所のドア越しに人影が通るのをよく見るので父が仕事から帰ってきたとか私が学校から帰ってきたなど勘違いをよくしていました。玄関が閉まる音がしたので誰か帰宅したと思ったり、調理中に食卓のイスが音を立てて引いたので誰かが座ったのだと思って振り向いたら誰もいなかったり…と、怖さはないのですが、不思議な家なのです。