骨董マニアの部長から名品らしい不気味な油絵を譲られた。
地の底へと続く暗い階段にあまり食欲を唆られない黄色い果実が描かれている。
何とも不気味な静物画だ。
こんなのオフィスに飾っても雰囲気が暗くなる。
取引先を怖がらせる。
こっそり処分しても後で角が立つので、会社で倉庫代わりになっている通路の袋小路に飾った。
その夜、恐竜に襲われる悪夢を何度も何度も見た。
黄色い果実を抱えて必死にあの不気味な階段を駆け昇る。
だが最後は喰い殺されてしまう。
翌朝、殆ど一睡も出来ず、目の下に隈を作って出社した。
部下のAが俺の顔を見るなり妙な事を口走った。
課長。
谷口が呼んでましたよ。
階段のとこで待ってるそうです。
Aはポケットから出した何か黄色い実を齧っている。
嘘だ!
谷口なんて社員はこの支店にはいない。
記憶力にはちょっと自信がある。
プライベートでも学生時代まで遡っても俺に谷口なんて知人は一人もいない。
それにウチの会社は一階建てだ。
階段などない。
それをAが知らない筈がない!
谷口がいないってなんすか?
マンガの読み過ぎっすよ課長(笑)
さっき谷口から貰ったもんこうして今も喰ってるっすよ俺?
そう言ってAは黄色い実をまた齧る。
確かにAが嘘をついているようには見えない。
とりあえずAにその階段とやらへ案内させた。
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