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不思議体験

SNNNさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

警官のコスプレ
短編 2025/08/06 21:57 3,978view
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「警察です。バッグの中、見せてもらえますか?」

今日もまた、私は声をかけた。

警官の制服を着て街を歩く。
気弱そうな人間を選んでは職務質問をする。

「何か怪しいもの、持ってないですよね?」
「どちらに行かれるんですか?」

ただそれだけの会話なのにゾクゾクする。
権力を持ったふりをするその一瞬だけ、私は何者かになれる気がする。

私は本物の警官じゃない。

着ているのはただのコスプレ衣装。手帳も偽物。

もちろん、違法だってことは知ってる。
でも……もうやめられなかった。

捕まるかもしれないというスリルが、何にも代えがたい高揚感をくれるのだ。

私が“職質ごっこ”をするのは決まって深夜。
この時間帯は面白い人間に出会える。
酔っ払い、薬物を持ってる奴、何かを隠してる人間…

その日も、いつもと同じつもりだった。

深夜0時。コンビニ前。

終電を逃したのか、ぐったりとうなだれたサラリーマン風の男に声をかけた。

「警察です。少しお時間、いただけますか?」

男はにこりと笑って、軽く頭を下げた。

「お仕事ご苦労さまです。……あれ? すみません、どちらの署のご所属ですか?」

その言葉に息が止まりそうになった。

バレた……?

動揺しながら、ポケットから偽の警察手帳を取り出す。名前も所属も全部でたらめ。

男は手帳を一瞥すると、顔色一つ変えず笑みを保ったまま言った。

「実は私も警官でしてね。このあたりで“職質が多すぎる”って苦情が入ってたんです。
でもこのエリア、うちの交番の管轄でね。つまり職質してるのはうちの警官じゃない。
正体を調べようとしていた矢先で手間が省けて良かった。ちょっとついてきてもらえる?」

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