皆さんは「因習村」というものをご存知でしょうか。
古くからの不可解な風習や、奇妙な言い伝えが残る、いわゆる閉じられた村の事です。
創作ではよく、神隠しやサイコホラーなんかと結びつけられたりしますよね。
そんな因習村ですが、何を隠そう私はそこの村民なんです。
もちろん、そういった話の中に出てくるような誇張された世界とは少し違います。
……と言いたいいのですが、実際にこの村には、普通じゃちょっと考えられないような「しきたり」がいくつもあります。
ざっと数えても100以上はあるんじゃないかと。
その中でも、特に重要だと言われているものを、今日は少しだけ紹介しようと思います。
まず1つ目です。
「村民は、この村から出てはならない」
この村民というのは、単に「この村に住んでいる人」ではありません。一度でもこの村に足を踏み入れた者。それが村民と見なされるんです。
つまり、外から来た人でも、帰るつもりでいても、その瞬間から“村の人”になるということです。
ですからこの村には、観光客も通りすがりもいません。
村の北側には「おばけトンネル」と呼ばれる唯一の出口がありますが、そこにはいつも村の大人たちが交代で立っていて、誰も外には出られないようになっています。
なぜ外に出てはいけないのか。
理由を聞いても、みんなこう言うんです。
「出た者は、“そうなる”から」って。
その“そうなる”が何を意味するのか、誰も説明してくれません。ですが、私が成人を迎えたら教えてくれるそうです。
2つ目は
「外の暦を用いてはならない」
です。
この村で使われるカレンダーは村独自のものです。お盆も正月も、全国的な日程とは違っていて、テレビやネットの情報は使われません。
「外の時間に染まると、祟りが起こる」
これは村の年寄りたちがよく言う言葉です。
私が小学生のとき、ネットで調べた自分の誕生日占いを話しただけで祖母に本気で泣きながら叱られたのを今でも覚えています。
「外の者と、同じ時間を過ごしてはならない」って。
……でも私はこっそりスマホを使っています。少し後ろめたさもありますが、ネットの世界はこの閉鎖的な村より全然楽しくて、暇が出来たらいつもスマホを触ってしまいます。現に、今もトイレにこもってこうしてこの文章を書いてるところです。
最後です。
「午後八時までに寝ること」
























迂闊に村に出入りできないのにどうやって携帯とか手に入れたんですか?家電製品もどうやって?食料とかも誰が運んできてくれるんですか?肉まで自給自足?通販できないじゃん。毎度配達員には犠牲になってもらう感じですか?
怖い