背中に汗が流れ落ちる。
どうしよう。
これからどうなる——?
思考を巡らせていると、男が淡々と告げた。
「君が犯した罪は、軽犯罪法違反、私文書偽造罪、偽造公文書行使罪、詐欺罪、逮捕監禁罪……ざっと数えても、これくらいはある」
——終わった。
人生、詰んだかもしれない。
仕事はクビだ。いや、そもそも刑務所行きだろう。
罰金で済むレベルじゃない。
頭が真っ白になりかけた頃、男が足を止めた。
そこは交番でも警察署でもなく、
……寂れたバーだった。
扉を開けると、中には4〜5人の男女。
全員が警察の制服姿で談笑していた。
私の顔を見るなり、その中の一人が言った。
「ようこそ。仲間入り、おめでとう」
——え?
頭が追いつかない。
「……あの……これって……私、捕まるんですか……?」
そう聞くと、最初に声をかけてきた男が、くすくすと笑った。
「違いますよ。僕たちも、本物の警官じゃない。」
「…………え?」
「偽者ですよ、僕らも。実はね、君が思ってるより“僕たちみたいなやつ”、多いんですよ。」
「…………」
「取り調べる側の優越感。逮捕されるかもというスリル。あれってね、クセになりますよね。でも、本物じゃ手に入らないから……“なりきる”。そうでしょう?」
何が起こっているか分からなかった。
と、そのとき。
「あっ!この事件だよ!田村さんが出たやつ!」
誰かが叫び、皆がテレビに目を向ける。
国営のニュース番組。
画面にはさっきの男が“本物の警察官”としてインタビューに応じる姿があった。
























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