Fさんのフィリピン心霊紀行
投稿者:kana (210)
ボクの古い友人の一人にFさんという大大大先輩がおられるのですが、
彼がその昔、フィリピンで大冒険をした時のお話が面白すぎるのでご紹介したい・・・と思うのですが、全部を紹介していると小説1冊分になるほど長くなりますので、今回はその中から特にオカルトめいたお話の部分を抜粋してご紹介したいと思います。
まずFさんは、大規模開発の設計をされている方で、海外でゴルフ場やホテルの建設などをされています。その関係で政府のお役人たちとも太いパイプを持つことがあるそうです。
まぁぶっちゃけていうと、本当に賄賂がすごい世界なのだとか。
今でこそフィリピンと言うと発展著しく、先日もバスケットボールの試合で日本を大応援してくれる親日国の顔を持つようになりましたが、Fさんが渡った当時のフィリピンは、まだマラカニアン宮殿にマルコス大統領がいる頃で、ピナツボ火山も噴火する前。アメリカはここにクラーク空軍基地という海外基地としては世界最大の空軍基地を置き、冷戦の極東情勢に睨みを効かせる即応体制をとっていました。そんなとてもキナ臭い時代のフィリピンです。
どのくらいキナ臭いか一例をあげると、とある米軍兵がフィリピン警察に逮捕されて刑務所に連行された・・・すると米軍はマニラ湾に停泊させていた戦艦の主砲を刑務所の方に向け、すぐに兵士を釈放しなければ砲撃すると脅し、兵士を強制的に釈放させたそうです・・・。そんなことがまかり通る、米軍が今よりもずっと好き放題やっていた頃のフィリピンが、このお話の舞台となる時代です。
そのような時代でしたので、治安も悪く、特に日本人は狙われやすく極めて危険なため、
Fさんは拳銃所持の許可を当局から受け、ワルサーPPを所持しておりました。
(ワルサーPPは初期の007ジェームズ・ボンドが愛用していたワルサーPPKよりも少しだけ銃身の長い銃で、小型で命中精度も良い、日本人の小さな手にもフィットする銃でした)
毎日毎日練習したおかけで、ほとんど100発100中になるほどの腕前になったそうですが・・・Fさんがこれほど拳銃所持に必死なのは、この前年に同業者の友人がニューヨークで辻強盗に遭い、射殺されているからだそうです。今では想像もできませんが、この頃はニューヨークも危険な街でした。自分の身は自分で守る。それを実感しているからこその拳銃所持だそうです。
・・・・・・
Fさんが滞在したのはバギオシティー。ここは第2次世界大戦末期、旧日本軍の山下将軍が最後の陣を張った所として知る人ぞ知るところで、『山下将軍の財宝』が埋蔵してあるとの噂があり、今でも地元のお宝ハンターがそこかしこを掘り返しています。実際に500グラムの金塊がこれまでに200本見つかっているのだとか。
このバギオシティーのジュンラボ市長(当時)の奥さんが日本人でもあり、そのツテで市長が来日していた時、赤坂の天ぷら屋でたまたま隣同士になったのがFさんと市長の交流のはじまりだったそうです。
この市長、実はフィリピンでナンバー1のヒーラー(心霊療法師)でもあり、バギオの療養所には世界中から患者が訪れていました。日本からも少ない時で20人、多いときは50人も訪れていたそうです。・・・そういえば昔テレビ番組でよくやっていたような気がしますね、心霊療法とか、心霊手術とか言うもの。麻酔もメスも使わず、素手で患者の体内から悪いものを抜き出すという術で、術中は先生の触れている部分から血や内臓のようなものが出てくるものの、手を離すとそこには傷ひとつないという不思議な術です。
市長いわく、治療効果のあるのは感染症以外だったら何でも治し、特にガンは得意にしているそうで、それを信じたFさんは、いちるの望みに賭けることにしました。
実はFさんには、埼玉県の熊谷市に姪(当時12才)がおり、脳腫瘍で余命半年だと宣告されていたので、その心霊療法を施してもらうことにしたのです。市長の診断では、病状がかなり重いので1日では完治出来ませんが、チャンスはあります。・・・と言うことでした。
当然ながら周りの反対は強く、姪の通っている学校へ行き、事情を話してしばらく休ませてもらうことにして、その足で病院へ行って担当医に会ったら、それはもうクチから泡を飛ばして猛反対。・・・当然でしょう。先生からすればただのオカルト話です。
そこでFさん、先生にこう言い放ちました。
「だって先生には治せないんでしょ?」
「・・・(=_=)」
Fさん、やっとのことで姪っ子をつれてバギオに渡ったそうです。
飛行機もボロボロのガタガタ、ただの草っぱらのような空港に着陸した時は生きていることに感謝したそうです。
市長がいるという「ジュンラボ療養所」に電話をすると、これがなかなか繋がらない。今では信じられない事ですが、当時は違う所へ繋がってしまう確率が30%はあったそうです。
やっとのことで市長がシティハウスに居るらしいと言うことが分かり、タクシーで市役所に向かいます。20年も手入れをしないで乗っている日本車で、タバコを吸って、その灰を捨てる所がないので、これどうしようと運転手に尋ねると「足もとにあいている穴に捨てろ・・・」
やっと市長とご対面。10坪ほどの市長室にカウボーイハットをかぶり、袖にひらひらが付いた上着を着て、ジーンズにブーツをはき、その足を片方机にのせている男がいる。腰にはガンベルトにリボルバーを2丁さげ・・・まるで西部劇のガンマンのようなその男が、バギオシティの市長、その人でした。
市長が二丁拳銃なのには訳があります。2年前、市民100人余りが一揆を起こし、市長の自宅を拳銃や手榴弾で襲ったのです。ボディガード3人と応戦したものの、お互いあっという間に弾切れになり、最後は石やレンガを投げあったそうです。ちなみにこの騒動での逮捕者ナシ。日本では信じられない出来事ですが、それ以来二丁拳銃なのだそうです。
市長は公務の手をとめて、Fさんたちを自宅に案内してくれました。
前後に護衛用の車がついて、車の中にはそれぞれ4人の現役の軍人が拳銃やサブマシンガンで武装して、物々しく行進するのです、前を走る一般の車が避けていきます。
わずかにある信号機の赤色モードもまったく無視です。この護衛をやっている軍人の少佐が物凄い人なのですが・・・それはまた別のお話。いずれ機会があれば紹介したいと思います。
Fさんは姪っ子とその母親(つまりFさんの妹)母子を市長に預け、いったん帰国しました。
kamaです。ご覧いただきありがとうございます。
これを読んで、自分も心霊療法を受けて見たい、がんの治療をしてみたいと思う方もおられるかと思いますが、当方では心霊療法のご紹介はできませんので、その手ご質問には応えできません。ご了承ください。なんといってももともとの体験が古いお話で、マルコス政権時代と言えばほぼ40年以上も前のお話です。ヒーラーのジュンラボ氏もご存命かどうかもわかりません。それに現代医療は素晴らしく発展しておりますので、安易に心霊療法に頼るより、現代医学を受ける方が得策なのは言うまでもありません。どうしてもという方はご自分でお探しくださいますよう、先にお断りさせていただきます。
今、フィリピンのジュンラボでぐぐってみたら本当に心霊術やってる動画とか出てきましたw
確かに元バギオ市長で、奥さんの名前はユウコさんだそうです。びっくりしたー!
怖さは全くないが、両者共にWinWin!続きを楽しみにしています。
↑kamaです。コメントありがとうございます。楽しんでいただければそれで本望です。
尚、本文ラストでF氏は自分の資金でホテルやゴルフコースなどを作るとすごく気前のいいことを言っていますが、そこはやっぱりビジネス。日本国内でゴルフ場の会員権を売りさばき、それだけで55億円売り上げたそうです。そりゃコースでもなんでも作りますってね。昔の日本人ってみんなゴルフやってましたよね。バブルのころにはマンション買えそうなほどのゴルフ会員権もあったりで、時流にのってたんでしょうね。
kamaです。「Fさんたちたち」と誤字になっている部分がありましたので修正しました。
こういったお話は最高です。とても面白く読ませていただきました。続編をお待ちしております。