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心霊

kanaさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

ICUのゴースト (加筆修正版)
短編 2023/03/13 20:33 2,037view
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「先生、患者の容体急変です!すぐICUへ!」

ボクのピッチが集中治療室へ入れとがなり立てたのは、
午後の休憩時間の時だった。
患者は4日前に救急車で運び込まれてきた男児である。

第2病日(びょうじつ)より40度の発熱。
第3病日より下痢を認め、血圧も低下。
第4病日からは応答不良となり、痙攣を伴う発作が表れたためICU入室となった。

「意識レベルGCS6、体温42度、脈拍141、呼吸数39…」

患者の状態が報告される。

全身に潮紅(ちょうこう)、眼球結膜充血も見られる。

静脈血液ガス分析を行い、頭部CTに入る。

痙攣を抑えるためにジアゼパムを静注したが5分とたたずまた発作が起こる。

「ホスフェニトインを22.5mg静注、脳波モニタリングしてください」

「気管挿管します。人工呼吸器管理開始」

「NADとAVP投与します」

ICU室内が騒然とした戦場となっている時、ボクは一瞬動きが止まった。

部屋の片隅に男の子が立っていたのである・・・。

薄っすらと青白く輝いているように見えたその子の顔は、
明らかに今ベッドに横たわっている彼の顔だ。
しかもその青白い子とベッドに横たわる子は、

細い真綿で出来た紐のようなもので、頭同志が繋がっているように見えた。

瞬間ボクは、

「早く自分の身体に戻りなさい!」

と、部屋の片隅に向かって怒鳴っていた。

一瞬、スタッフたちの動きがビクっとして止まったが、
なんでもないとその場を繕い、治療を進めさせた。

部屋の片隅にいた青白い子供ももう消えていた。

ボクはこれまでオカルトを信じたことはなかったが、
アレを見た瞬間、これは魂が離れようとしているのではないか、
と思い、ついあんな言葉が咄嗟に出てしまったのだ。

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コメント(3)
  • kamaです。一部誤字を訂正しました。

    2023/03/14/06:25
  • kamaです。たまに聞かれるんですが、この子はいったいなんの病気なの?と。
    結論から言うと、熱湯で大火傷して救急で運ばれたのち、敗血症になったケースです。

    2023/03/19/09:56
  • 臨場感があって読みごたえありました。回復して良かった。

    2023/04/29/09:49

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