朝早く、母が血相を変えて私の部屋に来ました。
そして「頭が…頭が落ちて来た」と言うのです。話を聞くと夜中2時過ぎにすり足で床を歩く音が聞こえ、人の気配で目が覚めたそう。
恐々目を開けると突然お腹に重たいものがドンっと落ちて来たそうです。小さな電気をつけて寝ている母は驚いて飛び起き見ると長髪の頭がゴロンと床に落ちたと言うのです。ところどころ髪はなく地肌が見えている頭で、顔はのっぺらぼう。
その話を聞いて、私は、夢を見て気が動転したのだろうと思っていました。
「それは怖かったね、じゃあ今晩は私の部屋で一緒に寝よう」と言って、その話は終わりました。
仕事から帰宅後も母は青白い顔をして怯えている様子。お腹にドンっと落ちて来た感触が忘れられないのだそう。すっかり元気をなくしていました。
その夜、私の部屋で一緒に寝たのですが、私は翌日休日だったので暗い部屋の中、イヤホンをして動画を見ていました。
すると夜中2時を過ぎた頃、母がむくっと起き立ち上がりました。「どうしたの、トイレ?」と聞くと無視して自分の部屋へ向かいます。
その時不自然だなと思ったのは歩き方。今まで見た事がない、すり足で歩くのです。スリッパも履かず歩いて行くので思わず母の肩をばっと掴み「どこ行くの?」と言うとパっと振り返り私を見たその顔は狐のように目が吊り上がり睨みつけたのです。
これはおかしいと思い、「ちょっと!しっかりして!」と大きな声を出すと徐々にいつもの顔に戻りキョトンとして「あんた、どうしたの?」と言いました。何かが憑依していたんだなと確信しました。
あまりにも恐ろしい顔だったので本人にはこのことを未だに伝えていません。
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