窓から覗くおばさん
投稿者:with (43)
正直怖さより不気味さが勝っていた俺が不安気に聞くと、Aはポテチをつまみながら答えた。
自分の自宅が知られてるのにたいした度胸だと俺は感心した。
それから特に何も起こることはなく、俺達はゲームの続きを再開して騒いでいた。
ある時、俺達は自分らの笑い声の中に甲高い声が混ざっているのに気が付いた。
例えるなら、俺達が「ぎゃははは」と盛大に笑うのに対して、「あはははッ」とちょっと発狂してるような女の笑い声。
最初は気にもしなかった笑い声は次第に大きくなり、窓際から聞こえている事に気が付く。
俺達はカーテンの締まる窓を凝視して固まる。
「あははは」
俺達が黙っていてもその声ははっきりとすぐそこの窓から聞こえてきた。
度胸のあるAが徐に立ち上がりカーテンを思いっきり捲った。
すると、窓ガラスで若干歪んで映るおばさんの顔がそこにあり、大きく口を開けて笑い続けていた。
「「「うわあああああ」」」
俺達はゲーム機を投げ捨ててAの部屋から飛び出した。
リビングにいたAの両親が驚いた様子でこっちを見ていたが、Aは必死に、
「窓、誰か、いた!」
と片言の日本語になって喚く。
Aの両親はただ事じゃないと察すると父親が駆け足でAの部屋に飛び込んでいく。
Aの親父カッケーとか思いながら後に続く俺達。
Aの部屋の中心で父親が佇んでおりキョロキョロと確認しているが、誰もいないことに首を傾げている。
「誰もいないぞ?」
「ま、窓!」
カーテンが空きっぱなしなので外は見える。
父親はAに言われるまま窓を開けて外に身を乗り出し、上下左右を確認した後、窓を閉めて振り返った。
「誰もいないぞ。そもそも足場なんてないしな」
そうだ、Aの部屋にベランダはない。
俺達はそのことに気が付くと全身に寒気が迸った。
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