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呪い・祟り

withさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

雑木林の白装束
長編 2021/11/30 11:52 5,877view
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俺の実家は山に囲まれた盆地の隅っこに建ってて、家の裏側にはほとんど雑木林が広がってるだけの超がつく田舎だ。
田舎といっても歩いて10分もすれば旧国道がありコンビニやスーパーもあるにはある、生活に不便がない片田舎。
まあ、鹿や猿といった害獣が普通に出るから農家には厳しい土地かもしれない。

俺が大学2年の冬休みに帰省してたときの話になる。

例年通り家族に近況報告を兼ねて久しぶりの故郷でまったりと過ごしてガス抜きしてた。
地元の友達とカラオケ行ったり、家族で焼肉行ったり、寝正月に備えて買い物行ったり、くつろげる実家はやっぱ最高だなとコタツで丸くなってた。

あれは小晦日の真夜中だったと思う。

自室で寝ていたらコツーンコツーンといった何かを叩く音が耳障りで俺は目を覚ました。

カーテンを開けても結露で曇った窓のせいで外の様子は見えなかったので、寒いのを我慢して窓を開けて外を覗き込んだ。
誰もいない静寂な暗闇の中に、コツーンと異質な音が確かに聞こえる。

歩いて10分もしない距離に古い神社があるんだが、5年くらい前、俺は中三の受験シーズンくらいの時、深夜の初詣の帰りに雑木林で丑の刻参りをしている人を見かけた事を思い出した。

その時は完全に私服の女性の姿だったから幽霊だと思わなかったし、何より友達を連れてたので一緒になって「すげえ!」だの「初めて見た」だの息を殺してはしゃいでたから怖くなかった。

だが、今聞こえているのは家の裏手にある雑木林だ。
神社ならいざ知らず人ん家の近くでこんなことする非常識が居るのかと俺は困惑した。
まあ、丑の刻参り自体非常識かもしれないけど。

俺はしばらく音の出所を探るように耳を澄ませ、方角や距離を何となくだが探っていた。

この時完全に睡魔から覚醒した俺は、無謀にも雑木林に入ってどんな奴がやっているのか見てみようとバカな考えに至った。

そうと決まれば厚手の上着を羽織り手袋やニット帽とか防寒対策して、念の為庭の納屋近くにあった角材を装備し、深夜の雑木林探索に出向いた。

雪は降ってないが氷点下近い極寒の中、息が白くなるのを楽しみながら周囲の警戒を怠らないように音のする方へ進んでいく。
コツーンと鳴る度に脳が揺れるような不思議な悪寒がするが、近づいているのを実感するほど武者震いするものだ。

角材を握る手に力が入る。

コツーン

ハッキリと聞こえた方へ振り向き、俺は息を殺して気配を断つ。
まあ達人でもなんでもない素人だからただ身を潜めてるだけなんだが、茂みに屈んでつま先立ちでチョコチョコと移動してた。
で、薄い月明かりに照らされた人らしき影が大木に向かって木槌みたいなのを振り下ろしているのを発見した。

その瞬間アドレナリンが出まくりだったと思う。

本当に全身白装束に染まった人間が藁人形みたいなものに向かってひたすら打ち込み続けている狂気の沙汰としか思えない光景を見て、俺はかなり引き気味だった。

ちょっと関わり合いになったらヤバいと判断して踵を返すが、不幸にも小枝を踏みしめてパキッと音が鳴ってしまった。

断続的に続いていたコツーンとという音が途切れる。

俺は口許をおさえて全身を硬直してなるべく呼吸も止めた。

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コメント(1)
  • 人間でも幽霊でも怖すぎる

    2021/11/30/12:02

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