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呪い・祟り

えっちゃんさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

歪んだ土鈴
短編 2026/06/29 15:24 59view

これから、ある、オカルトライダーの『土鈴』について、話をしよう。

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10年前
オカルトライターをしていた私は、ある日、山奥の古民家を解体した際に見つかったという「奇妙な遺物」の調査を依頼された。それは、粘土で作られた手のひらサイズの土鈴(どれい)だった。通常の土鈴は丸みを帯びていて、振るとカラカラと小気味いい音が鳴る。しかし、目の前にあるそれは違った。全体が不自然に歪み、まるで苦悶に歪む人間の顔のように見えた。そして何より異様だったのは、振っても音がまったくしないことだった。中に何かが詰まっているかのように、鈍い、重苦しい振動だけが手に伝わってくる。
土鈴について不ダウ産業者に聞いてみると、
「それが見つかった蔵の持ち主の一族、全員亡くなっているんですよ」
怯えたような声で言った。
「最後のひとりは、自分の喉を掻きむしって息絶えたそうです。警察は自殺と断定しましたが、部屋の壁一面に、血で『ナカミガデル』と書き残されていたとか……」
その話を聞いた私は、好奇心に駆られ、自分で持っていたいと思った。

その事を話し、後日その土鈴を引き取り、仕事部屋に持ち帰った。すると、もらった日の夜から、奇妙な現象が始まった。深夜の2時を過ぎると、部屋のどこからか

「コト……コト……」
と、固いものが床を叩くような音が聞こえてくるのだ。音のする方をみてみると、机の上に置いてあった土鈴が、わずかに位置を変えていたのだ。まるで、自ら動いているかのように…

土鈴をもらってから3日目の夜、とても恐ろしい異変が起きた。寝ようとしていた私の耳元で、はっきりと声が聞こえたのだ。
「……だせ……だせ……」
低く、掠れた、老婆のような声だった。飛び起きて電気をつけると、部屋には誰もいない。しかし、机の上の土鈴を見ると、驚愕のあまり息が止まった。土鈴の表面に、前日まではなかった『ひび割れ』が走っていたのだ。そのことにも驚いたが、一番驚いたのは、その隙間から、黒い、髪の毛のようなものが数本、生えるように突き出ていたのだ。私は恐怖のあまり、何分かその場で固まってしまったが、冷静に気を取り直して土鈴を鍵の付けた箱に、急いでしまった。

次の日に、怪異系の分野に詳しい民俗学の教授に連絡を取った。
「お忙しい中、すみません。私が持っている土鈴に、かいいがとりついているかもしれないんです。どうにか、退治をしてほしいんですけど…」
「・・・わかりました。では、すぐに研究所へ来てください!」
その電話を終えたあと、すぐに土鈴を持参して研究室を訪れた。
渡した土鈴を一目見た教授は、顔面を蒼白に染めて椅子から立ち上がった。

「これに触れてはいけない! 今すぐ元の場所に戻すか、然るべき寺に預けなさい!」
教授が震える声でいった。
「どうしてですか?これは退治できるものではないのですか?」
教授は土鈴のことを、震えながら語りはじめた。

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土鈴をもっていたその土地に住んでいる村人たちは明治初期まで、一族に災いをもたらすとされた悪人や、口減らしで間引かれた子供の『怨念』を封じ込める生霊信仰があったという。生きた人間の爪や髪、あるいは最期の息を土鈴の中に閉じ込め、決して音が鳴らないように泥や生血で固めて焼き上げる。音が鳴らないようにするのは、呪いが外に漏れないようにするためだ。そして、その怨念がこもった奴隷は、その土地に住んでいた村人たちが姿を消したと同時になくなったのだという。

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「この土鈴は、いわば怨念の『器』だ。音が鳴らない間は封印されているが、もし、中の者が自力で音を鳴らしてしまったら……」
教授はそこまで言って、深く息を吸った。
「もともとの話をしよう。鈴とは本来、神を呼ぶものだ。だがこれは逆。呪われた者が、自分を害した一族をあの世から呼び戻すために鳴らす。ひびが入ったということは、封印が限界を迎えている証拠だ。もし音が鳴れば、その場にいる者は一族もろとも、引きずり込まれる」
その言葉を聞き、私は生きた心地がしなかった。
すぐにでも寺に持ち込もうと、土鈴をバッグにしまい、教授の研究室を後にした。

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