窓に写り込んだ「顔を前髪で覆った女性のような人影」
投稿者:with (43)
大学生になった俺は夏休みに実家に帰省して、毎晩遅くまでオンラインゲームに没頭していた。
ネットを介して友達と通話しながら「あー助けて」「今、行くわ」なんて言いあいながら深夜まで楽しんだ。
深夜2時くらいだったと思う。
ゲームを切り上げて友達との通話を切り、凝り固まった体を背伸びしてほぐしているとコンコンと音が聞こえた。
俺が座っている勉強机の横にちょうどカーテンが締まった窓があるんだが、明らかにそっち側から聞こえたから思わず固まった。
例えば、鳥が窓ガラスに当たるとか、トラックが砂利や小石を撥ねた際に家まで飛んでいくとか、音の原因はそういうのが多いと聞く。
でも、今は深夜で鳥もトラックいないので、そういった生活音じゃないことは嫌でも理解できた。
友達に通話して助けを求めるか?なんて考えるが情けないし既に寝てるだろうと思い、俺はカーテンをめくることにした。
サッと勢いをつけて思い切り開けると、照明に反射した部屋と俺の姿が映りこむ。
窓を開けて外を確認したが、外は街灯も少なく、ほとんど真っ暗闇だった。
「なんだよ…」
悪態づいて窓を閉めた俺は、目線を上げた。
「わあああああっ!?」
そこには顔を前髪で覆った女性のような人影が窓に写りこんでおり、俺は床に尻もちをつくようにして転げた。
え?え?なんて頭の理解が追い付かずに困惑したが、すぐにカーテンを閉めた。
今しがた見た女性が部屋に入ってきそうな気がしたが、もし幽霊だったら通り抜けるのでは?なんてしょうもないことも考えてた。
俺はすぐにパソコンに向き直り友達に通話をはじめて、10コールくらいで繋がった。
『どした?寝るとこなんやけど』
「出た!幽霊出たかもしれん!」
興奮冷めやらぬ俺は、イヤホンの向こうから聞こえる眠たげな友達の言葉を無視して今しがた起きた出来事を興奮気味に伝えた。
「マジやばくね?」
一通り話し終えたことで落ち着いてきた俺は、一呼吸置いて友達の返事を待った。
『……外にはおらんかったんよな?言いづらいけどさ、窓ガラスに反射しとんならそれって家の中におったってことやない?』
友達がしゃべり終わると同時に俺は逃げるようにして一階におりた。
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