岡山の学校に通っているときに、私には気になる人がいました。
その人は同じ学校に通っていたわけではありません。しかし、いつも同じ時間帯に頻繁に駅前で会うので、私はすっかり彼の顔を覚えてしまいました。
特に顔がイケメンだったわけでも、恋心を抱いていたわけでもありません。顔だって多分私が一方的に覚えただけで、向こうは知らないんじゃないかなと思います。いつ会ってもすごくそっけない感じなので、多分向こうは気づいていません。ただ本当によく会うので、勝手にこちらが親近感を感じていました。
さすがにどこに住んでいるのかつけるほどストーカーのようになるつもりはなかったですが、気になったりもしました。
そんな彼とも学校を卒業した後は一切会わなくなりました。連絡先も知らないので、当然それっきりになると思っていました。でも違ったのです。私は卒業後岡山のほうで一時期働いていたのですが、体調を崩して仕事を辞めて、また地元の高知に帰ってくることになりました。そこで事務の仕事をしていたのですが、なんと岡山でよく顔を見知っていたあの彼とそこで再会したのです。
彼は私の職場の近くにあるスーパーでアルバイトをしていました。初めて会ったときは驚きで二度見してしまいましたね。しばらく様子をうかがったりしたんですけど、向こうは一切私に気づくこともなく、反応もなかったです。まあ岡山でも一方的に知った間柄だったしなぁと思ってあえて声はかけませんでした。そんな私たちですが、偶然にもバス停で同じバスに乗り合わせて隣の席に座ったのです。
私はなんだか運命を感じて、思い切って彼に声をかけてみました。そんな若干不審者感のある私に彼はすごく優しく話をしてくれました。思い切って連絡先を聞いてみて、私は彼と遊ぶ仲にまで発展したのです。しかし、しばらくして驚くべきことが判明しました。なんと彼岡山で住んでいたことが一度もなかったんです。聞いたときはばちーんと頬を叩かれたような衝撃を受けました。同一人物だと思い込んでいた彼は実は別人でした。同時期東京で一人暮らしをしていた彼が岡山で私と会っているわけがないのです。
ドッペルゲンガーって本当にいるのかな?と思うような出来事でした。
今でもなんだか狐に化かされたような気持ちですし、どう見ても顔や背格好は一致するのです。彼には兄弟もいなければ従妹もいません。本当に不思議で、でもそのおかげで私たちは知り合えたとも思います。岡山の彼は彼のドッペルゲンガーだったのかと思うくらい同じ顔で、なんでこんなに似てる人が存在するのかと不思議でたまりません。こんなことあるんだなと思うけど、そのドッペルゲンガーのおかげで今彼と知り合えたと思うと奇跡だなとも思います。
不思議なご縁ですね