しろの生まれ変わり
投稿者:ぴ (414)
親が忙しくて、小さい頃とても寂しい思いをしました。
そんなときにいつも私のソバにいてくれたのはその猫で、私はこの子を抱きしめて寂しさを紛らわしました。
猫はいつの間にか私の家の敷地に住み着くようになり、私がミルクをあげて育てました。
最初見かけたときはよちよち歩きの赤ちゃんで、やせ細って元気がなくて心配していたのです。
しかし私がご飯をあげている内にどんどん元気を取り戻し、気づいたらたくましい成猫に成長していました。
私が11歳のときまで、家で飼われていたその猫はいつも私の傍らにいたのです。
だけど12歳の誕生日を迎える前に、突然行方不明になりました。
親と総出で探したのですが見つからなくて、泣く泣く諦めました。
本当に悲しくてどうにかして私の元に戻ってくるようにと何度も何度も神様に願ったのですが、結局私のもとに戻ってくることはなかったです。
猫は死ぬ前にひっそり姿を消すといいますが、それを考えると怖くなりました。
もしかしてあの子はもう死んだかもしれないと思いたくなくて、きっと別の家庭で幸せに生きていると思い込みました。
そんな話も忘れかけた20代の頃に、私はとある男性と知り合ったのです。
友達と立ち寄った雑貨屋さんの隣にペットショップができたと聞いて、行ってみたのです。
そこで店員をしていた彼に話しかけられ、仲良くなりました。
付き合っているんじゃないのかと疑われるくらいによく遊びました。
でも私は彼のことをそういう風には見ていなくて、なぜか懐かしさを感じたのです。
一緒にいて落ち着ける相手というか、いるのが当たり前というかそんな感覚になるのです。なぜだろうとずっと考えていました。
ある日彼が職場でペットショップの子猫を抱いているのを見て、なんとなく小さい頃に飼っていたあの子猫を思い出しました。
名前はありきたりだけど「しろ」といい、真っ白なふわふわの毛がかわいい子でした。
その子猫を思い出したときに、なぜか彼としろがダブって見えたのです。
彼の髪の毛は真っ黒だし、背もがっしりしていた可愛らしさとは無縁な見た目です。
だからこそ、なぜダブって見えたのか自分でも分からなかったです。
その頃からなんとなく、しろの話を彼にするようになりました。
ミルクをやって育てたことや「しろ」と呼ぶと走って寄ってきたことを話すと、なぜか彼は少し恥ずかしそうに見えました。
付き合うとかそういうのはなく、なんとなく居心地がよくて私は彼と一緒に住み始めました。同棲というやつです。
友達には「ラブラブだね」なんてからかわれたけど、彼と私は付き合っているという意識はなかったし、私には恋人という感覚がなかったです。
しばらく一緒に住んでいて、気づいたこともありました。
彼は見た目とは裏腹にかなり甘えん坊で私にくっつくのが好きでした。
たまにすり寄ってくるのが可愛いなと思いました。
それから牛乳が好きで、いつも冷蔵庫に牛乳が常備されています。
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