『はじめまして。声をかけてくれてありがとう。すごくうれしいです』
A「……嘘でしょ? 誰が書いたの?」
私「私じゃないよ……?」
C「私も違う」
B「みんな、こんな字じゃないよね」
背筋にゾクッと冷たいものが走った。けれど、思春期の好奇心は恐怖よりも勝ってしまう。
私たちは顔を見合わせると、ノートを自分たちの間で順番に回しながら本格的に『記子さん』との交換日記を始めることにした。
順番は、発案者の A → 記子さん → B → 記子さん → C → 記子さん → 私 → 記子さん。
持ち回りの交換日記は、最初の方は本当に楽しかった。
共通の趣味のアイドルのこと、最近好きな曲、学校の話題。どんな他愛もない会話にも、記子さんは丁寧で優しい言葉で返事をくれた。まるで、新しい友達が増えたみたいだった。
ルールさえ守っていれば、何も怖いことなんてない——私たちはそう高をくくっていたのだ。
あの日、Aがノートに向かって、いたずらっぽくペンを走らせるまでは。
『記子さんって、どんな顔をしてるの?モテる?』
Aがそう書き込み、記子さんからの返事を待った。
その日の放課後。私たちは期待と少しの不気味さを抱えながらノートを開いた。
だが、そこに書かれていたのは、いつもの丁寧で綺麗な丸文字ではなかった。
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