「契約ってそんな簡単なものじゃないんだよ。
読めないものにサインはできない」
毅然とした態度で言ってやった。
「なんでそんな酷いこと言うんですか?
死神として、こんなに素敵な寿命は見逃せないんです。
どうして理解してくれないんですか?」
目に涙を浮かべていた。
まるで、俺が悪いみたいに言われてるが――俺は悪くないぞ。
次の瞬間、目の前の死神が吹っ飛んだと思ったら、短いスカートを翻して別の女の子が飛び込んできた。
理解が遅れたが、ドロップキックで死神を吹っ飛ばしたらしい――短いスカートで。
「お兄さん、大丈夫? 逃げるよ」
パンクな衣装に身を包んで、青みがかったショートヘアの女の子が、俺の手を引っ張って走り出した。
後ろから、「なにすんだ、こらー」という声が聞こえてきたが、目の前の女の子は「うっせぇ、バーカ」と笑いながら走っていた。
少し走って人通りの多い道から一本逸れると、開店前の飲み屋街に出た。
「危ないところだったね」
屈託のない笑顔で話しかけてきた。
正直、この手のファッションの女の子は怖いと思い込んでいただけに驚いた。
助けてくれたこともそうだが、何よりかわいい。
「急に死神を名乗る女の子に絡まれて困ってたんだよ。助けてくれてありがとう」
俺はというと、久しぶりに走ったから息も荒いし、鼓動がやけにうるさく聞こえた。
「あいつら、大したこともしないのに『寿命寿命』ってうるさいよな」
笑っていたが――死神を否定しないのか?
「昔はさ、余生を苦しむだけの人の寿命を持っていってた――いわゆる人助けだったのに、だんだん成績を気にしてその幅が広くなって乱獲するようになったんだよ。
たとえば、『働きすぎてかわいそう』とか理由つけてさ。
で、今じゃ契約書なしで寿命を狩り取れなくなったんだよ――馬鹿だよな」
めっちゃ笑ってるけど、ここ笑うところなのか?
「うちら悪魔も契約書は必要だけど、願いは叶うからお得だよ。
寿命全部使って、でっかい願いとか叶えてみない?」
別種の変なのに絡まれてしまった。
「いや、そういうのは特にないかな……」
「あー、なるほどね。そっちのタイプか。
うちらは融通利くから、ちっさい願いを何個も叶えるでもいいよ」
気さくに肩に手を置いて笑いかけてきた。
俺はちゃんと断ったつもりだったが、彼女は別の理解をしたらしい。

























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