「お兄さん、素敵な寿命ですね。ください」
街をぶらつくのどかな休日を過ごす俺の前に、ふわりとしたピンクの髪の毛の女の子が現れた。
甘ロリに身を包む彼女の笑顔は愛くるしく、普段の俺ならだらしない顔で接していたことだろう。
しかし、それ以上に言葉の意味が分からなくて戸惑ってしまった。
そんな俺に対して、彼女は「申し遅れました。わたし、死神です」なんて言いながら、かわいらしいポーズをとった。
「あ、そういうのいいので」
変なのに関わるとろくな事がない。
適当にあしらって通り過ぎることにした。
次の瞬間――腕に鈍い痛みがあった。
見ると小さな手でしっかりと腕を掴まれていた。
「待ってください。タダでとは言いません! 頭くらいなら撫でていいですから」と必死の形相で懇願してきた。
小さい体なのに、振り払おうとしてもビクともしない。
それこそ、なにかに固定されたかのように。
「どうせいつかは無くなるんですから、いいじゃないですか! くださいよ!」
そもそも、”寿命”の意味がわからない。
でも、簡単に「あげるよ」なんて言っちゃいけない気はした。
それにしても、これだけ騒いでるのに誰もこちらを見ない。
別に見られたいわけではないが、助けては欲しい。
「ちょっと待って、話し合おう。
あと、手を離してくれないかな?」
彼女はじっと俺の目を見てから「絶対に逃げないでくださいね」と言って、素直に手を離してくれた。
そして、1枚の紙きれを見せてきた。
「人間でも読める文字で書いてきました。
契約してください。寿命ください」
かろうじて文字だとわかるが――下手すぎる。
幼稚園児と同じか、下手するとそれ以下だ。
「いや、ちょっと読めないかな……」
相手の気持ちを考えて「下手すぎて」は黙っておいた。
「別に読めなくてもいいです。
ここに名前だけ書いてくれればいいので」
表情だけ見ると、ほんとにかわいい。


























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