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心霊

太山みせるさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

おさない先生
長編 2026/10/04 00:02 118view

そう言って、裕子さんはアイコスを吸いだした
「こんな風に、タバコを咥えて診察よ」

「え? いくら昔でも、タバコ吸いながらはダメですよね?」

「吸ってはいなかったのよ、ただ咥えていただけ。
吸えないくせに、ご丁寧に咥える場所にテープを巻いてね、紙が唇にくっつかないようにした上で、口にしていたのよ。
タバコは絶対ダメって厳重注意を受けてからは、渋々他の物で代用するようにはなったけどね。
とにかく、何かを咥える癖があったのよ。
最初タバコだったのは、タバコ咥えてたら格好良いと思ったんでしょうね。
診察中も患者に見えない所で、よく鉛筆やハンカチを咥えていたの。
幼い子がオシャブリするでしょ、大人になってもその癖が抜けないのねって、皆に陰で笑われてたわ」

「あの、裕子さんは医療関係者ではないですよね? 病院にいた訳ではないと思うんですが、何か全部見ていたような言い方で……」
ボクは気になったことを聞いた

「私は地元の、代々続く名士の家の娘なのよ。
幼い頃からたくさんの人が家に来るから、たくさん情報も入るの。
私が地元で知らないことは無いんじゃないかな。
この話はね、色んな人から聞いたことをまとめて話してるから、全てが私の視点ぽくなっちゃうけど、良い?」

「勿論、大丈夫です。続けて下さい」
早く続きが聞きたくて、そう答えた

「長内先生は勤務態度も悪くて、患者と話す時もやる気なさそうに小さい声だから、聞き取るのも苦労するの。
ただし患者が女子高生の時だけ、目が輝くのよ。
彼女らが診察にくると、セクハラな質問をしたり、ニヤニヤしながらやたらと触ってね、もちろん問題になったわよ。
院長先生も追及された。
何でこんな医者を雇ったんだってね。
長内先生は東京で何かやらかして、居場所がなくなったのよ。

それで親戚の偉い人に泣きついて、その人から院長先生に話がいったの。
院長も見返りを期待して、長内先生を引き受けたのよ」

「あの、凄いダメな癖のある人ですね、医者になれたのが不思議です」
ボクは思わず、口をはさんだ

「そうね、勉強はできたのね。
でもそれしかやらなかったから、人間関係の構築が上手くできなかった。
反省したり直そうともしないから、何も変わらないのよ。
……他にも変なところが多くてね、歩くのがやたら早くて、いつも小声でブツブツ言ってるのよ。
挨拶も返事もまともにできないし、おかしな人だねって第一日目から言われてた。
服装もね、高級品で揃えてるのに、ヨレヨレになるまで着てて、誰かに洗濯に出しましょうねと言われるまでそのままなの。
白衣とメガネが似合うインテリ美形なのに、笑うと気持ち悪い顔になるし、メガネも汚れたままだった。
医者なんだから、清潔にしていて欲しかったわ。
髪も洗ってないのかベットリしてたし、歯も黄ばんでた。
とにかくダメな医者だと噂になって、先生の診察日は、ガラガラになったの」

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