夜中の雑居ビルで、誰もいない編集室の蛍光灯が一本ずつ消えていく。交換しても、翌朝には同じ順番で切れている。最後まで残るのは、廊下に一番近い一本だけだという。
その編集室の床は緑色で、窓は一つ。
流し台の横には、印刷所から戻った雑誌を積むための金属棚がある。
『夜光』編集部の間取りと一致していた。
Mさんが気にしていた奥付は、五十二ページにある。
発行日、定価、印刷所、私書箱の番号。編集人として、四人分の名前を掲載したはずだという。
ほかの三冊には、実際に四人の名前が載っている。
しかし、Mさんが保管していた冊子には三人分しかなかった。
消された跡や印刷のかすれではない。
最初から、その場所には何も組まれていない。三人目の名前の後には余白があり、そのまま発行所の住所へ続いている。
記載されていなかったのは、Mさんの名前だった。
「名前なんて、載っていても載っていなくても同じですよ」
Mさんはそう言った。
それでも、その冊子だけは休刊から現在まで、一度も手放していない。
「私が持っている第七号だけ、私が作っていないことになっているんです」
四冊の第七号は、現在もそれぞれ別の場所に保管されている。
同じ号を所有しているという人物が、ほかに二人いる。
まだ中身は確認できていない。
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