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ゴンゾウさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

廃刊ミニコミ「夜光」第七号を探して
長編 2026/09/03 15:32 86view

〈電話には、それからも何度か出ています。一度だけ、受話器を取る前から向こうが切れていたことがありました〉

二冊を並べてみた。

表紙、特集記事、広告、ページ番号、紙質は同じだった。

異なる文章は同じ位置に収まり、周囲の罫線やページ下部の汚れには、二冊に共通する特徴があった。

違うのは、読者通信の二通目だけである。

文章が違うにもかかわらず、どちらも二十三行で、改行位置まで一致していた。

Mさんは、別版や増刷の可能性を否定した。

「第七号は一回しか刷っていません。途中で版を変える金なんかないですよ。版下も私が印刷所へ持ち込んで、そのまま三百二十部刷った。請求書も一枚です」

印刷所の名前は奥付に記載されていたが、すでに廃業していた。

その後、古書店から三冊目を入手した。

この冊子でも、読者通信の二通目が異なっていた。

投稿者名は「薄い壁」。

引っ越した部屋の押入れに、奥行きが十センチほどしかない区画がある。板を外そうとすると、隣の空室から同じ数だけ釘を打つ音が返ってくる。

文章は、こう結ばれていた。

〈隣は半年ほど空室です。大家さんには、壁を薄くした覚えはないと言われました〉

これも二十三行だった。

活字の種類、字間、段組み、改行位置は、ほかの二冊と一致している。

Mさんは三つの文章すべてに心当たりがないという。

編集部では、読者から届いた手紙に通し番号をつけ、大学ノートへ記録していた。第七号の制作期間に届いた投稿は十一通。その中に「屋根裏」「公衆電話」「薄い壁」は存在しない。

「投稿は全部、私書箱に届いていました。封筒を開けるのも、返事を書くのも私の仕事でした。読んでいれば、どれか一つくらい覚えているはずなんです」

残されていた封筒の一枚には、青いインクで小さな三角形の印が押されていた。

Mさんは、それについても覚えていなかった。

Mさん自身も、第七号を一冊保管していた。

完成後、編集部員一人につき一冊ずつ分けた保存用の見本だった。

ただし、取材当日には持参していなかった。

「どの記事が載っているか、確かめたことはありますか」

そう尋ねると、Mさんは少し考えてから答えた。

「昔、一度だけ見ました。でも投稿欄より、奥付がおかしかった」

後日、その冊子を見せてもらった。

読者通信の二通目には、「蛍光灯」という投稿者の文章が載っていた。

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