あの駅の地上ホームは、
過去に何度も人身事故が起きている駅だった。
僕は思った。
あの異形は、
電車に轢かれた人間の霊なのではないか。
全身の関節があり得ない方向へ曲がっていたのも。
首が折れていたのも。
身体全体が壊れていたように見えたのも。
電車に激突した人間の姿なのではないか。
そう考えると、あの姿にも説明がつく気がした。
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それ以来、僕はホームドアのない駅を利用できなくなった。
電車が怖いわけではない。
ホームが怖い。
ホームの端が怖い。
向かい側のホームを見るのが怖い。
そして何より、
「あれ」がまた現れるのが怖い。
乗り換えの都合でホームドアのない駅を使わなければならないときは、身体が震えた。
とうとう生活に支障が出るほどになった。
僕は意を決して、近所の寺でお祓いを受けることにした。
住職に、すべて話した。
駅で見たもの。
目が合ったこと。
地下ホームで周囲の人間が消えたこと。
そして、気づいたら自分がホームの端に立っていたこと。
住職は黙って聞いていた。
そして、お祓いを終えたあと、
少し困ったような顔で言った。
「あなたが見たものは、その駅で亡くなった一人の霊ではありません」
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