アナウンス。
電車のブレーキ音。
足音。
スマホの通知音。
それまで消えていたすべての音が、一気に戻ってきた。
我に返った。
目の前には、たくさんの乗客。
いつの間にか、周囲には人が大勢いる。
さっきまで誰もいなかったはずなのに。
僕は呆然と立っていた。
そして、
ふと足元を見た。
――僕は、
ホームの端ギリギリに立っていた。
つま先が、ホームドアのすぐ手前。
あと少し前に出ていたら、
線路へ落ちていた。
僕は震えながら後ろへ下がった。
そこでようやく理解した。
さっき、そいつが僕に近づいてきたのではない。
僕の身体が、そいつのいる場所へ近づいていたのだ。
この駅にホームドアがなかったら。
僕はきっと、
自分から線路へ落ちていた。
そして――
あの怪異に取り憑かれて、電車に轢かれていた。
そう思うと、全身から血の気が引いた。
⸻⸻⸻⸻
家に帰ってから、僕はあの駅について調べた。
そこで初めて知った。
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