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不思議体験

Mineさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

何があっても、君を守る。
短編 2026/07/02 08:05 90view

でも、それはあまりに甘い考えだった。
だってその時の俺は知る由も無かったんだ。
あの通り魔がまた俺たちの前に現れる事になるなんて。

さて、俺がミサキから告白を受けたのは事件の熱もまだ冷めやらぬ頃。
正直迷ったけど俺は当時誰とも付き合ってなかったからとりあえずOKし、俺たちは交際する事になった。
すぐに別れるだろうと思ったけど、でも付き合い続ける内にどんどんミサキに惹かれていく自分がいる事に気づいた。
初めてミサキの事が心から愛おしく思える。
もう誰にも傷つけさせやしない。
何があっても俺は彼女の側にいて、守り抜く。
そんな決意を胸に秘め俺はミサキと共に青春を過ごしていった。

ミサキはあの事件後PTSDを発症してしまい、突然動悸が激しくなり身動きが取れなくなることが多々あった。そういう時、俺は彼女の手を握りしめ「大丈夫、大丈夫」と声をかけ続ける。するとやがて発作が治まり、またいつもの元気を取り戻してくれる。
でもやっぱり顔の傷のせいで以前ほどの明るさは失われているようだった。

俺たちは同じ大学へ進学し、そして社会人2年目に結婚することになった。
ミサキの薬指に指輪を通したあの感触を、俺は生涯忘れないだろう。
そう、まさに俺たちは疑う余地無く幸せの絶頂にいたんだ。
それからお互い20代後半に突入する頃、ミサキの妊娠が判明した。

陣痛の始まったミサキは現在入院中で、俺はアパートに一人で生活している。
これからはミサキだけじゃなくて生まれてくる我が子も同じくらい大切にしなきゃな。
責任重大だぞ。俺。
そう自分を鼓舞しながら出産の日を今か今かと待ち続ける毎日。

・・・ところで、一人暮らしをするようになってから俺は部屋の中で奇妙な物を見かけるようになった。
別に幽霊とかじゃないんだけどなんていうか、空間に裂け目のような物が見えるんだ。しばらく無視してたら消えるけど、ここんとこ出現するペースが尋常じゃ無くなっている。

ある日、俺はその裂け目に恐る恐る近づき中を覗き込んでみた。
向こう側はぼんやり淡い光が見えるだけでどうなっているのかまるで分からない。
一体何なんだこれは。

「大丈夫だ。行ってこい」

突然声をかけられ飛び上がらんばかりに振り返ると、白髪交じりの中年の男が腕を組んで立っていた。
誰だ、いつ入ってきた、と俺が聞くより早くその中年男は再び口を開いた。

「心配するな。ちゃんと戻ってこれるさ。俺が保証する」

俺はもはや質問する気も無くなり、中年男の次の言葉をただ待っていた。

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