奇々怪々 お知らせ

不思議体験

Mineさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

何があっても、君を守る。
短編 2026/07/02 08:05 132view

当時高校生だった俺は陸上部でミサキはソフトテニスをやっていた。
いつも大体同じタイミングで部活が終わり、俺たちは家が比較的近いこともあって帰りは同じ方向になる。
と言っても単に同級生ってだけで友人ですらないから肩を並べて帰る事もなく、ミサキの10メートル以上後ろを俺はスマホをいじりながら夕闇迫る中をとぼとぼ歩いて行く、毎度おなじみのパターン。
・・・でも、その日は違ったんだ。

前方から「ワッ」と短い悲鳴が聞こえて俺は顔を上げた。
ミサキのすぐ前の曲がり角から突然マスク姿の男がぬっ、と姿を現していた。
興奮してる様子でここまで聞こえる位ヒィヒィヒィと荒い呼吸をしながら片手には光る物を握っている。カッターナイフだ。
「ウ、ウ、ウアアアアアアア!!」
男は奇声を発しながらカッターをめちゃくちゃに振り回してきた。
ミサキは悲鳴を上げながら逃げようとするも足を滑らせその場に転んでしまう。
ヤバい、嘘だろ。どうするんだ。

こんな時に限って周りに誰も通りがからない。
そして情けないことに俺は身体が硬直してガクガクと震えることしかできずにいた。
男はゆっくりと倒れているミサキに近づいていく。
やめろ、やめろよ。
「やめろおおおおッ!!」
俺はありったけの勇気を振り絞り大声で叫んだ。同時に身体の硬直も溶けて俺は全速力で男に向かって突進する。
男の身体に思いっきり体当たりをかますと、ふいをつかれた男は地面に倒れ込んだ。
すかさず俺は近くに落ちてた木の枝を拾い男に向かって振り上げる。
男はすんでの所で立ち上がり、俺が振り下ろした木の枝は地面を叩きつけた。
そのまま俺たちは睨み合いになったが、ついに男は身を翻しどこかへ走り去っていった。
「ミサキ!大丈夫か!?」

ミサキの元に駆けつけると彼女は顔を手で覆っていて、指の間からぽたぽた血の雫が
垂れている。顔を切られたようだ。
俺は持っていたポケットティッシュを抜き取り顔にあてがい、救急車が来るまで泣きじゃくる彼女の隣でずっと身体を支えていた。

あの通り魔は未だに逃走中だ。

入院から戻ってきた彼女の顔には痛々しい傷跡が残ってしまった。
ミサキが一体何をしたっていうんだ?
1人の女子生徒の心と体に一生癒えない傷を負わせたあのクソ野郎を許せなかった。
鬱憤が溜まっていたのか知らないけど、きっと誰でもよかっただのほざいて自分より弱い人間を狙うどうしようもないクズに決まってるし、野放しには出来ない。
もう一度探し出して今度こそとっちめて、警察に突き出してやりたい。
チャリを漕いで町中を方々探し回ったけど、見つけ出す事はできなかった。
きっとあいつはどこか遠くへ逃げたに違いない。今頃自分が出てるニュースをみて震えているんだろう。

1/3
コメント(0)

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。