なぜ空いている玄関から入らずこんなことをしているのか、ひどく気味が悪い。
しかし迎え入れない訳にも行かない。
玄関に回ってもらおう。
「よろしければ…」
玄関に回っていただけませんか
そう言おうとしたところでガシと肩を掴まれた。
再び心臓が跳ね上がる。
振り返ると眠っていたはずの老婆が肩を掴んでいる。
「すみませんが対応中なので…」
続きを言おうとした私に老婆が口に手を当て話すなと訴えてくる。
その時だった。
『申します、申します』
また声がした。しかし今度は若い女の声だ。
窓を見る。
さっきの影の横に一回り小さな影が増えている。
『『開けてくださいませんか』』
感情の籠っていない声が重なる。
それと同時に気づく。
公民館の裏手は川だ。
安全上の都合で公民館の裏手には回れなくなっている。
『『『開けてくださいませんか』』』
声が増えていく。
老婆は私の服を掴んで震えている。
何かで見た話を思い出した。
「悪いものは招かれないと入れない」
慌てて玄関に向かう。
古い金具式の鍵を手間取りながらもかける。
その直後、
『開けてくださいませんか』
玄関のすぐ外から声がした。
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