今日も雨だ。
梅雨ということもあり、連日雨が降り続いている。
今日のニュースではここら一帯は警報級の雨に見舞われるようだ。
先輩職員から声が掛かる。
「夕方から明日の昼にかけて警報が出たからお前悪いけど避難所の開設頼むわ」
「分かりました」
準備を整え過疎化の進んだ寂しい地区を車で進む。
田畑ばかりのいつも通りの道も、連日の雨で様変わりしている。
少し離れた駐車場に車を止め、避難所開設予定の公民館に向かう途中、コンクリートで舗装された川が目に入った。
いつもは穏やかな流れの川が今日はカフェオレのような濁流になっている。
(今回の雨いつもよりヤバそうだな)
雨足が強くなってきたため公民館へ急いだ。
簡単な受付を用意し椅子に腰をかける。
避難所と言ってもあくまで場所を提供するだけであり、避難者に対して大袈裟な接待をする訳でもないため、大した準備も必要ない。
公民館のだだっ広い部屋に机と椅子を並べるだけである。
結局避難してきたのは毎回避難してくる独居老人だけだった。
腰の曲がった80過ぎの女性であり、避難所解説の度に顔を合わせるため顔見知りになっていた。
独り身で何かあった時に頼れる人もいないから少しでも警報が出れば避難しておくのだそうだ。
軽い雑談はするが歳が歳であるため、避難してきても20時過ぎには非常用のマットを敷いて眠ってしまう。
さらに雨足が強くなってきた。時計は深夜2時を少し過ぎている。
眠気を少しでも和らげようと伸びをし、辺りを見回す。その時だった。
視界の端に違和感。
目を向けると玄関の反対の曇りガラスに影が出来ている。思わずビクリと肩を震わせる。
人影。
跳ね上がった心臓を落ち着かせながら窓に近寄る。深夜だが避難者が来たのであれば対応しないといけない。
声をかける。
「どなたがいらっしゃいますか?」
流石にすぐに窓を開け放つ度胸はなかった。
しばらくの沈黙。
再び声をかけようとした時
『申します、申します』
曇りガラス越しに声がした。
くぐもった、低い男の声。
『開けてくださいませんか』
声が続いた。

























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