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呪い・祟り

プルプル布顚🍮さんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

一膳の箸から始まる怪談
長編 2026/06/22 12:22 946view

バタンッ…

 その後、水神さんは救急車で搬送された。けれど昏睡状態のまま目を覚さない。
「…どうしますか、澄龍さん」
「どうって…何がですか?」
「水神さんがこうなってしまった今、番組を続けるか、です。元々水神さん無しでやってましたけど、水神さんがやめた方が良いって…」
 すると、澄龍さんはとある話を話してくれた。
「…初めて、珠香に会った時の事です。確かまだ、小学一年生くらいでした。元々うちも珠香みたいに強い力を持った家系で、寧ろ珠香より強いくらいだったんですけど、私は全然で。何となくそれが悲しかったんです。ある日神社で『霊感が強くなりますように』ってお願いしてたら、珠香に話しかけられたんです。珠香はこう言ってました。『お前は元からすごく強い。今何も感じないのは守護霊に守られてるからだ。ちょっとした事が引き金となって、判るようになる』って。それから仲良くなって、今回以外にも心霊スポットに行ったりして……珠香、やめとけって言う割には調査するの楽しんでるように見えました。今まで考えた事のなかった、知らなかった事に気付かされたりして。それに、今やめてもまたこの区域には関わらなきゃいけない気がします。もう少し、調査しませんか?」
 確かにそうだ。我々がやらなければ他の人がやるだろう。
「……やりましょう」
 我々は見代塚区域付近にある図書館で調べる事にした。今まで調べていなかった事を。
『何故、この区域で子供が亡くなるようになったのか。』
 「ありそうですか、蔦雪さん」
「見つからないですね…」
 その時、七◯代くらいの男性が話しかけてきた。
「何を探してるんだ?」
「ああ、今、僕等見代塚区域の文化について調べてて」
「見代塚区域?う〜ん、ここではあんまりあの区域の事が書かれてる資料は見ないな。確か、箸見大社でその古い資料を保管してると聞いたが…」
「本当ですか?」

「あぁ、実は私も昔、少しだけ調べた事があってな。もう内容は忘れちまったけどよ」
「ありがとうございます。助かりました。」
 図書館を出て車に乗り込む。かつて見代塚区域で何があったのか、その真相を解明すべく我々は箸見大社へと向かった。
 箸見大社は、想像していたより本格的な神社だった。大きな朱殷(しゅあん)色の鳥居、大きな本殿。向かって右側に社務所があった。
「…社務所がありますね。多分ここに神主さんがいらっしゃるので、僕声かけてきますね」
 ごめんください、と声を掛けると、
「はい。どちら様でしょう…あ!」
神主さんが出てきた。と同時、神主さんは僕の背後を見て目を丸くした。
「澄龍様ですか!?」
「え?まぁ、はい」
「あ、神主の枕火(まくらび)と申します。この度は会えて光栄でございます。」
 神主は澄龍さんの事を知っていたようで、外へ小走りに出てくるや否や澄龍さんに握手した。
「…澄龍さん、この方お知り合いですか?」
「い、いや、初対面です。」
すると神主が言う。
「いや実は、この神社の後ろにある区域に結界石が置かれているのですが、それを置かれたのが澄龍様の御先祖様『 澄龍 庵子(あんこ)』様なのです。」
「『…え!?』」
「え、私の先祖!?というかなんで私が澄龍庵子の子孫だと判ったんですか!?」
「澄龍庵子様の写真を見た事がありとても顔立ちが似ているように感じた、というのもあるのですが、特に雰囲気と言いますか。澄龍様はとても強い守護神様がいらっしゃいますので、見ただけで判るのです。」

「な、成程…?」
「…それより本題に入って大丈夫でしょうか?実は———」
現在、見代塚区域について調べている旨(むね)を伝えると、神主さんは少し顔を顰めてこう言った。
「本来、人に見せる事は出来ないのですが、澄龍様が言うならお見せしましょう。こちらへどうぞ」
 社務所の奥にある応接間に我々を通してくれた。
「資料を持ってきますね」
 神主は応接間から出る。
「…まさか結界石を置いたのが私の先祖だったなんて」
「そうですね…あ、『凸撃!心霊事件の真相』に結界石の画像が載ってますよ」
 画像には、判りにくいものの確かに「澄龍庵子」という名が彫られていた。
 「お待たせしました。こちらが見代塚区域の資料でございます。」
 神主が古い巻物を持って現れる。そしてその巻物をくるくると伸ばした。その巻物には文章の下に絵が描かれていて、それは石にお祈りをする美しい女性と花緑青色(はなろくしょういろ)の美しい龍だった。
「……これ、なんて書いてあるんですか?」
すると、澄龍さんが言い始めた。
「『箸ノ祟り、ヤウヤウニ村二廣ガリケレバ、靈力優レタル澄龍庵子トイフ者、四ツノ結界石ヲ據ヱ置キヌ。彼女ノ徳ニヨリテ、ソノ境ヨリ外ハ平穏ナリ。ソノ内ナルハ、身代塚・鬽世塚ノ區域ト言フ、人ミナ立チ入ラヌ。』…と」
「えと、意味は…」
「『箸の祟りが次第に村へと広がっていったので、霊力が優れた「澄龍庵子」という者が、四つの結界石を置いた。彼女のおかげで、その境界から外側は平和になった。その内側は「身代塚(みよづか)・鬽世塚(みよづか)」区域と言い、皆立ち入らない。』ですね」
「ははぁ、澄龍様は古文が読めるのですね」
「いや、勘です。何となく判るんです。」
「凄いですね……ん?」

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