<資料1> 見代塚区域
神奈川県石里市に位置する。区域はほぼ正方形になっており頂点四つに結界石あり。この結界石は悪いものを封印する為と思われる。結界石には文字が彫られているが解読不可能。北側の境界線ギリギリ外に箸見大社という神社がある。
<資料2> 箸捧
区域内にて七歳児が原因不明の病・又は事故によって亡くなる事が多発。以降、この「箸捧」という儀式が始まる。この儀式をする事で、子は肉体を持つ事が出来る。又、血の繋がりのない子供でもこの儀式をすると家族にする事が出来る。
・儀式の内容
1.区域外の人間を身代わりにする。
2.身代わりの血液を混ぜたご飯を用意する。
3.そのご飯を親の血液が付着した箸で食す。(自分に近い方の箸に父親の血液、もう片方に母親の血液を垂らす。箸は赤色で木製の物を使用する。)
<資料3> 旧見代塚屋敷
見代塚区域内中央に位置する屋敷。玄関に入って左に廊下。その廊下を真っ直ぐ進んだ一番奥の和室にて、過去に儀式中片ノ葉家の先祖(子供)が見代塚家の先祖(夫婦)の眼球に箸を刺して殺害。和室にはちゃぶ台一つと折れた赤い木製の箸一膳がある。
<資料4> 片ノ葉家
旧見代塚屋敷から歩いて約五分程の場所に片ノ葉の家は位置する。片ノ葉はかなりのオカルト信者。
わざと番組で本名を出し、人を来させ、来た人を儀式の身代わりにしている。
そこには我々も知らなかった情報が沢山あった。情報が手に入るのは有り難いのだが、見代塚区域へ行く事はもう既に決まっている。水神さんにメールを送信した。
「情報提供ありがとうございます。ですが見代塚区域に調査しに行くのは既に決まっている事なので、もう変えられないんです。」
すると、すぐに水神さんから返信が来た。
「私でも手に負えないかもしれないが、付いていっても大丈夫か?助手も連れて行く。ギャラも必要ない。」
「付き添って頂くのは大変有り難いのですが、やはり出演料は払わせて下さい」
「今回は私達が好きでやってるだけだ。必要ない。それにこういうので金を貰うと守護霊に叱られるんだ。集合は明日午前一一時、柄洲駅前でいいか?」
正直、水神さんが出演すると視聴率が上がるので非常に助かるのだが、出演料を払えないのは何だか蟠(わだかま)っていた。それにしても、行く日程を話していないのに当ててしまうのが相変わらず凄いと思った。
一方、水神は…
「希菜子、また見代塚区域に行く事になった。」
「エッ!?調査終わったんじゃなかったの!?」
「番組で行く事になったんだ。希菜子も付いて来い」
「え嫌だよ?」
「焼き肉奢r」
「行きます」
三
翌日、我々は車で柄洲駅に向かった。柄洲駅に着くと既に水神さん…ともう一人、助手と思われる女性が立っていた。てっきり水神さんは霊能力者らしい格好をしてくるかと思ったが、青色のシャツに黒いロングスカートというシンプルな服装だった。
「お待たせしました。ディレクターの蔦雪(つたゆき)です。」
「水神珠香だ。今日は宜しく頼む。あと、こいつが助手だ」
「助手になった覚えはないけど……初めまして、澄龍(ちょうりゅう)希菜子です。」
「今回は宜しくお願いします。えっと、澄龍さんも霊能者ですか?」
「それが全く。珠香が見代塚区域に行く時付いて行った、ただの友達です」
「ああ、そうなんですね。」
水神さん達を車に乗せ、見代塚区域へ向かった。辺りは至って普通の住宅街。こんな所に危険な区域があるとは到底思えなかった。五分程車を走らせると見代塚区域が見えてきた。すると、
「ここで一旦止めてくれ。一時的に結界を張る。」
水神さんに言われ、車を止める。そして透明な液体の入った器を渡された。
「それを飲め。」
「え、お酒とか毒薬じゃないですよね」
「ただの水だ。早く飲め。」
確かに、香りなどは特に無い。覚悟を決めてその透明の液体を飲んだ。無味無臭の水だった。
「え、私の分無いんだけど?」
「あ、後で使う分考えたら足りなかったから希菜子は無し。」
「え!?酷っ!?」
「ま、お前なら大丈夫だろ。で、希菜子以外は全員飲んだな?次は手を出せ。」
手を出すと、水神さんは何か呟きながら指で文字を描く。本当は背中にやるらしいのだが、車の中では難しい。これだけで大丈夫なのかは不明であった。その後車にも水を掛けて、見代塚区域内に入っていった。
「最初に行くのは旧見代塚屋敷か?」
「あ、はい。その後片ノ葉s」
「片ノ葉はやめとけ」
「えぇ…」
「資料にも書いたが、あいつただのオカルト信者だし嘘ばっか言うし無理やり身代わりにしようとするs」
「珠香落ち着いて。…取り敢えず片ノ葉さんは私もやめた方が良いと思います。あの人ずっと笑ってて何となく気味が悪いですし…片ノ葉さんの所へ行くよりも図書館でこの区域の事を調べた方が色々と情報が得られる気がします。」
結局片ノ葉さんの家に行くのはやめ、図書館で調べる事にした。
見代塚区域に入ってすぐ旧見代塚屋敷に着く。割と近いのだ。
「いいか。旧見代塚屋敷は普通の心霊スポットとは桁違いだ。特に蔦雪、お前は憑かれやすいから希菜子の前歩け。」
「あ、はい」
「え、私あの水飲んで無いんだけど」
「まぁいけるだろ」
心配になりながらも、我々は屋敷の中へ入っていった。中に入った瞬間、冷たくも生温い、ぬらりとしたものが体に纏わりつく感じがして全身が粟立つ。確かにここは、普通の心霊スポットとは比べ物にならないくらい気持ちの悪い場所だった。
廊下を進んで一番奥の和室に着く。
「ここが…あの儀式の…」
その時、僕の左目に激痛が走った。
「っあああぁぁあ」
「大丈夫ですか!?」
後ろにいた澄龍さんに話しかけられるが、痛みで返事が出来ない。
「蔦雪さん!?左目すごい腫れてますよ!?」
澄龍さんの肩を借りて、僕は屋敷から外へ出た。
「希菜子、退け」
「え、あ、うん」
水神さんが僕に近付く。そして僕の左目に手を翳(かざ)したかと思うと、
「…あれ?」
腫れはまだあるが痛みがすうっ、と消えたのだ。
「す、凄……あ、ありがとうございま…」

























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