近年、古着の需要が高まっている。
SDGsへの関心や価格の安さもあり、古着は再評価されている。ひと昔前は「古着なんて恥ずかしい」という意識もあったが、今では古着であることを誇る人も少なくない。
古着の流通経路もさまざまだ。
リサイクルショップに持ち込まれた物、古着専門店に集められた物、ウエス用として回収された物。
女はそんな古着をネット販売して生計を立てていた。
仕入れた衣類を洗濯し、シミ抜きや補修を行う。
「使用感あり」「わけあり」など細かな説明を添えて出品しており、売り上げも順調だった。
女の仕入れ先は、ウエス用としてグラム売りされている古着だった。
近年は洗剤も進化している。
多少のシミなら落とせるし、毛羽立ちを目立たなくする柔軟剤もある。
ある日、仕入れた衣類を選別していると、黒い子供の手形がくっきり残った子供服を見つけた。
子供服は需要が高い。
女は手形のシミを丁寧に落とし、漂白と洗濯を行った。
手形はきれいに消えた。
梱包して出品すると、すぐに購入者が現れた。
だが数日後、販売サイトから連絡が入った。
購入者から返品申請があったという。
理由は「汚れがひどい」。
返送されてきた商品を見て、女は驚いた。
子供服には、あの黒い手形がくっきりと残っていた。
確かにシミ抜きも漂白もしたはずなのに。
女はもう一度洗濯し、手形を消した。
そして再び出品した。
ところが今度は販売サイトから出品停止処分を受けた。
同じ不良品を繰り返し出品したためだという。
処分期間は長くなかった。
返金手続きを終え、再び返品された商品を受け取った。
梱包を解いた女は息をのんだ。
子供服には無数の手形が付いていた。
まるで小さな手が何度も何度も服を掴んだように。























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