すると背後から段々と緊急車両の音が近づいて来る。
消防車と救急車、そしてパトカー。
辺りが物々しくなる。俺は近くまで来て海を眺めてる警察官に話を聞いた。
「なんかあったんですか?」
「あー詳しいこと言えないけど、事故なんだよね、この辺で中学生くらいの男の子見てない?」
「見てないですね、さっき来たばかりで」
「そっかそっか。この辺封鎖するから下がってて」
そう言われ俺は警察官の誘導に従い、堤防から離れようとした時だった。
堤防に3つ並んだ木製の椅子が目に入った。
老婆がいない。
あの3人の老婆が居なくなっている。
「お巡りさん!さっきそこにおばあさんが3人いませんでした?」
老婆が座っていた辺りを指さす
「何言ってんの?ずっと兄ちゃん1人だったよ。ほら、下がって!」
そう言われるまま、俺は警察の誘導に従い、規制線の外まで出た。
その日はもう食事する気にはなれず、そのまま宿まで歩いて帰った。
翌朝、旅館の女将さんにそれとなく聞いてみた。
「昨日の夕方、警察とか消防来てましたけどなんかあったんですか?」
「可哀想な話でね。海で遊んでた高校生2人が流されちゃって今も捜索中なんですって」
老婆達の会話が頭を過ぎった。
あの3人、姉妹か?
彼女たちは人の死を予言していた?
それとも死神のように人の死を導いたのか?
俺は早々と旅館から出てタクシーに乗り込む。
駅まで出るためにはあの3人が居た海岸を通る。
「運転手さん、駅まで着いたら起こしてください」
「はいよ。お疲れだね」
「えぇ、ありがとうございます」
俺はぎゅっと目を閉じその街から離れるのを待つしかなかった。
あれ以来、何かと理由をつけて出張は断っている。

























※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。