そんな誠が羨ましかった。憎らしかった。
僕は、誠の所為で、死んだのに———。
僕・優斗と誠は、双子だった。よく見間違えられる程、よく似ていた。
ある日。
僕と誠は家で隠れん坊をしていた。僕が鬼で、子が誠。僕が三十秒数えて、「もういいかーい」て叫ぶ。すると誠が「もういーよー」って答えた。僕は中々見つけられなかった。クローゼットの中や、お風呂もとことん探した。だけど見つけられなくて、僕は悔しいながらも「場所教えてー!」って言った。すると、「こっちだよー!」って誠の声が聞こえた。声の近くに行くと、大きな姿見があった。きっとこの後ろに隠れているんだろうな、と思って僕は近づいた。見ーつけた!って言おうとした時。
「ばぁっ!!」
誠が急に出て驚かしてきた。と同時に、姿見が僕に向かって倒れてきた。どうやら、誠は驚かす為に勢いよく出てきたときにバランスを崩した様だった。思いっきり僕の頭に姿見が当たって、運悪く鏡の破片が頭に突き刺さった。誠が姿見の上に乗っかる形で倒れてきたから、僕は姿見と誠に潰された。「バキッ!!」という凄まじい音が聞こえて、僕は目の前が見えなくなる。「あ、あ、あ、…」と声が聞こえ、誠が青ざめている様子が脳裏に浮かんだ。「バキッ!!」という音は、僕の首の骨が折れた音だったようだ。
それから、気付くと真っ暗な所に居た。誠は僕が死んですぐはよく発作を起こしていた。けれどある時、ぴたりとそれが止まった。人は、強いショックを受けた時、たまに記憶が抜け落ちる事があるらしい。
その後から、誠は僕に話し掛ける様になった。
自分が殺したという事を忘れて、その相手に話し掛ける。まるで、「お前と違って、僕は幸せ」と言うかのように。
「今度修学旅行があるんだ。その時、友達と遊ぶから二泊三日の間だけは話せない。」
誠がそう言う。僕は絶好のチャンスだと思ったんだ。
「じゃあ、寝る前だけ声掛けてよ」
きっとそうすれば、周りの奴が誠を避けるようになるだろう。
そしたら、全てが上手くいった。
誠は学校で孤立した。友達も、皆近寄らなくなった。母さんと父さんは、誠に病気があるんじゃないかと話すようになった。
誠は、その母さんと父さんの会話を聞いたらしい。僕は誠が全て正しいと肯定した。
そして…
「僕と入れ替わらない?」
僕は、誠と入れ替わる事が出来た。やっと、鏡から出て、誠が楽しそうに話す世界へ行けたのだ。
全て、願いが叶った。
…はずだった。
その世界は、僕を異常者扱いした。学校では虐められたし、親には無理やり病院に連れて行かれる。
こんな事なら入れ替わらない方が良かったのだ。ずっと鏡の中にいる方が、幸せだったのだ。
僕は、鏡の中の誠に言った。「やっぱり、戻ってくれないか」と。
「…大丈夫、僕は『誠』の味方だから。誠は何もおかしくないんだ。」
そう言う誠の口は、不気味に弧を描いていた。
僕は、これからもずっと誠の代わりに苦しまなきゃいけないのだろうか?
前の、楽しそうに笑うもう一人の僕———誠は、消えてしまった。
ー 母 ー


























※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。