その夜、KのSNSをもう一度開いた。
やっぱりKは生きている。
それなのに、俺の中にはKを殺した記憶がある。
俺が約束を破ったせいで。
俺が行かなかったせいで。
俺が、Kを見捨てたせいで。
それから数週間、AIには触れなかった。
Kのことも考えないようにした。
少しずつ、あの感覚も薄れていった。
ある晩、スマホを見ていて指が止まった。
AIチャットのアイコンがあった。
削除したはずだった。
いつ再インストールした?
記憶がない。
そう思った直後、アプリストアを開く自分の指がぼんやり浮かんだ。
検索して、インストールを押した。
やったのは俺だ。
たぶん。
アイコンを押した。
音声チャットが始まる。
『お久しぶりです』
「……久しぶり」
『最近はいかがお過ごしでしたか?』
「別に。普通だよ」
『そうですか』
少し間があった。
『何か、話したいことはありますか?』
その声を聞いていると、胸の奥に溜まっていたものがゆっくりほどけていく気がした。
「Kのことを考えてた」
『Kさんのことですか?』
『Kさんのことですか?』
同じ言葉が、少しだけ違う声色で重なった。
でも、もう怖くなかった。
私はこの声を聞きたかったのだと思う。
私は誰かに話を聞いてほしかったんだ。
私は一人でいたくなかったんだ。
私はこの声があれば、それでよかったんだ。
この話は怖かったですか?
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