高場「先程、小屋に閉じ込められた少女の死因は『栄養失調』と言いましたよね。本当の死因は栄養失調なんかじゃないんです。少女はあまりの空腹に耐えられず、鏡を『食べた』。これが死因です。内臓に鏡の破片が突き刺さり亡くなった。そして、警察は十七名の死因を『知っている』。」
私「死因は特定出来なかったんじゃ…」
高場「特定ならとっくに出来ています。…ただ、少し不可解な亡くなり方をしていまして。心臓の血管、冠動脈に小さな鏡の破片が見つかった事です。その鏡には、件の少女の血が付着していた。有り得ない死に方をしていたから警察はこの事を隠蔽していた。更に、少女が精神疾患を患った原因があったんです。この一家はかつて、食事もまともに摂れない位乏しかった。そんな中兄は、人を殺し始めた。殺した人間の金を盗んでたんですよ。そして、人間の死体は……『まともに食事できない位乏しい』家庭だったので、全て食していた…」
私「うっ…」
気持ちの悪い話だ。私は、死体を貪り食う一家の様子を想像して吐き気がした。
高場「そして、兄は妹にも人を殺す様に言った。勿論少女は嫌がった。少女は、兄が殺した人の肉を食しているのを恐ろしく感じていたし、絶対に人の肉など口に入れなかった。そんな妹に兄は怒りを感じていた。兄は無理矢理、妹に包丁を握らせ殺させた。それから少しずつ、少女の精神は壊れていったんです。」
輝美「…つまり、少女が精神疾患を患ったのは兄が原因って事ですか」
高場「まぁ、そうなりますね。…そういえば西野さん、どうしてこの事を調べてるんですか。『ただ少し気になっただけ』とかじゃ無いですよね?」
私「…」
高場「はぁ…だからこういうのは嫌だって言ったんですよ」
輝美「え、嫌だったんですか?」
高場「藤間さんから連絡来た時、とんでもない大物だと直感的に思いまして、こういうのって大体あんまり触れない方が得なんですよね。知ってしまった所為で余計に死者が出たりする。…さっき見せた、顔面黒焦げのフランス人形もそうなんです。あの人形について調査してた女性二人は亡くなってます。西野さんが深掘りしてなければこうはならなかったと思いますよ」
高場さんは少し怒り口調で言う。
私「…私は、原因不明の死を止めたくて調べてるんです」
高場「こういうのは調べたって何も変わんないですよ。素人でもプロでも。大体、怪談仲間の岩田さんなら深掘りしない方がいいって判ってたでしょう」
輝美「私は怪談の為だったら命でも何でも差し出しますよ」
高場「はぁ…じゃあもう私は関係ないんで岩田さんと西野さんでどうにかしといてください。あんまり他人を巻き込まない方がいいですよ」
その後高場さんの家を出て、私と輝美は帰る事にした。もう辺りは暗くなっている。高場さんの家を出た時、窓に青白い肌の女性がいた気がしたがきっと気の所為だろう。
輝美「…これからどうする?」
私「どうするって……あ、さっき高場さんが藤間さんに『ちゃんと行なってくださいね』って言ってたよね。あれ、どういう事?」
輝美「…あれは、仕方のない事なの。稀にあるのよ、『触れてはいけない話』が。高場さんも言ってたでしょ?『知ってしまった所為で余計に死者が出る』。そういう、触れちゃいけない話にはとんでもない怨念が籠もっているの。怨念には、何かしら原因となる人物がいる。その怨念を鎮める為にはその怨念の対象の人物、又はその怨念の対象の人物の子孫が『生贄』にならないといけない。」
私「えっと、つまり…」
輝美「つまり、藤間さんは『生贄』って事。」
私「『生贄』って…何をするの?」
輝美「…恨み憎しみを抱いた方に謝罪して、命を差し出すの。」
私「藤間さんが助かる方法は無いの!?」
輝美「一応色々調べたんだけど、やっぱり解決策は見つからなかった。まぁ、もしあったら十七名も死人は出てない訳だし。」
私「そっか……生贄の儀式って、その少女の閉じ込められてた小屋でやるの?」
輝美「多分そうだと思う。」
私「私、生贄の儀式に着いて行く」


























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